ラグビーW杯を振り返る

フランスを中心に約1ヶ月半にわたって行われていたラグビーW杯は、10月20日(日本時間21日早朝)に決勝戦が行われ、南アフリカ(以下「南ア」と省略します)が15対6でイングランドを下し、12年ぶり2度目の優勝を遂げた。日本代表以外では南アをずっと応援していたぼくにとっては、嬉しい結果だった。

今回の南アの優勝はかなり幸運に恵まれたものだった。決勝トーナメントに入ってからの対戦相手は、フィジー、アルゼンチン、イングランド。大会前南アと並び優勝候補と目されたニュージーランド(以下「NZ」と省略します)、オーストラリア、フランスとの対戦のない優勝だった。
だからといって南アの優勝がフロックだということはできない。世界一のラウンアウト、安定したスクラム、個々の選手の強い当たりとディフェンス、HBの安定感、FBモンゴメリーの見事なフィールディングなど、優勝国にふさわしいものがあったと思う。

南アの優勝をもたらしたのはジェイク・ホワイト監督だった。前回2003年大会で南アが決勝トーナメント1回戦負けの惨敗を喫した後を受けて就任したホワイト監督は、就任するとすぐHOジョン・スミットをキャプテンに指名し、左PRデュラント、FBモンゴメリーと代表を外れていた2人のベテランをチームに呼び戻した。これが大成功だった。以降4年間にわたり、スミットはチームをすぐれたキャプテンシーで引っ張り、デュラントの安定したスクラムと巨体に似合わぬ運動量、モンゴメリーの安定したフィールディングと距離の出るタッチキックは、チームを一本の芯の通ったものにした。それ以外にも、ボタ、マットフィールドの両ロックや、FLバーガーら中心選手をずっと信頼して起用し続けることで、チームの結束力を固めた。
また3年間の間に、FLスミス、SHデュプレア、それに今大会の得点王となったWTBハバナら若い有望選手を発掘することにも成功した。
こうしたホワイト監督の一貫したすぐれた指導が今回の優勝をもたらしたといえると思う。

前回優勝のイングランドを連覇こそ成らなかったもののよく健闘したと思う。大会前の評判は良くなかったが、SOウィルキンソンのキックで強力FWを前に出すというシンプルな試合運びに徹することで、決勝トーナメントに入ってからオーストラリア、フランスを下し、準優勝に輝いた。
またアルゼンチンは堅守とFWの強さ、SOエルナンデスの好キックで3位に入り、大会の主役ともいえる躍進を遂げた。
フランスは決勝トーナメント1回戦で優勝候補の大本命とされたNZを破り、開催国の面目を施した。だがNZを破った後、どこか意思統一の感じられない試合運びでイングランドに敗れ、3位決定戦でもアルゼンチンに完敗した。予選リーグでは個々の選手の能力の高さは認められるもののチームとしての完成度が今ひとつのように感じられたが、それが裏付けられた格好だ。
NZは優勝候補の大本命とされながら、フランス戦で大試合での勝負弱さをさらけ出した。今から考えてみると(後からでは何とでもいえるのだが)、FW第3列やBKがどこかひ弱だったように思う。これだけの戦力を整えながら1回戦負けとは、今後の指導者はチーム作りに苦労するだろう。
またイングランド戦でFWが劣勢となって敗れたオーストラリアは、今大会限りで長くチームを支えてきたSHグレーガン、SOラーカムが代表を引退する。今後は、新しい指導者がどのようなチームを作っていくかにかかっている。
それ以外では、自由奔放なランニングラグビーで決勝トーナメントに進み、南アを苦しめたフィジーが強く印象に残った。双方が持ち味を出し合ったこの南ア―フィジー戦はひょっとしたら今大会のベストゲームではないだろうか。

ぼくの個人的には、今大会のMVPは、好守備と正確なプレースキックでチームを優勝に導いた南アのモンゴメリーがふさわしいと思う。また相撲にならって今大会の三賞を選考すると、
殊勲賞=アルゼンチン、敢闘賞=トンガ、技能賞=フィジーということになるのではないだろうか。

とりあげず個人的には、1ヵ月半の間、大いに大会を楽しむことができた(早朝に起きるのはたいへんだったけれど…)。また4年後を楽しみにしている。

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