フルニエのブラームス「チェロ・ソナタ第1、2番」

今日はブラームスのチェロ・ソナタ第1番作品33と同第2番作品99を聴きました。演奏はピエール・フルニエ(vc)とウィルヘルム・バックハウス(p)で、1955年5月のDECCAへの録音です。
ブラームスを聴くのにふさわしい季節を挙げるとすれば秋でしょう。またチェロを聴くのにいちばんふさわしいのも秋でしょう。こうしてブラームス2曲のチェロ・ソナタは、二重の意味で今日のような秋の日に聴くのにふさわしいことになります。

ところでこの2曲、作品番号に隔たりがあることからわかるように作曲年代が20年以上離れており、第1番はブラームス32歳、第2番はブラームス53歳の時の作です。こう書くと、後者の方が渋い作品のように思えますが、実際は大違いで第1番の方が渋いのです。第2番は第1番より振幅が激しい、スケールの大きい作品なのです。

第1番は3楽章編成ですが、冒頭部でいきなりチェロが印象的な憂いを帯びたメロディを奏でます。楽章を通じてブラームスらしい憂愁と寂寥感に満ち満ちています。第2楽章は安らかになりますが、基調としては暗いものがあります。第3楽章はほの暗いながらもダイナミックで、この楽章だけが32歳の青年らしいものがあります。
これに対して第2番は、4楽章編成ですが、第1楽章はスケールが大きくチェロが朗々と旋律を奏でます。第2楽章はアダージョでブラームスらしい情緒味があります。典型的なスケルツォである第3楽章を経て、第4楽章は活発に締めくくられます。
第1番の方がブラームスらしい曲かもしれませんが、第2番も堂々とした曲で、これら2曲のどちらを好むかはまさに聴く人次第でしょう。

フルニエのチェロは決して声高になることなく、上品でしかも流麗なものです。バックハウスの室内楽は非常に珍しいですが、ここでもしっかりとした演奏を聴かせます。これら両者の共演は、ブラームスのチェロ・ソナタの理想的な演奏といえるでしょう。

ここからは余談ですが、ぼくはブラームスのチェロ・ソナタの代表的名演と言われているロストロポーヴィチ&R・ゼルキン盤を持っていないのです。ずっとフルニエ盤で満足して聴いていたので、自分で自分に意地を張ってしまい、まだ買わずにいるのです。にもかかわらずピアティゴルスキー&ルービンシュタインとマイスキー&ギリロフは買ったのですが…。
ぼくにはこのように意地になって名盤の誉れ高い録音を持っていないことがあります。他にもミュンシュのベルリオーズ「幻想交響曲」や、ピアノではミケランジェリのドビュッシー、室内楽ではカザルス・トリオのベートーヴェン「大公トリオ」を持っていません。このように代表的な名盤を意地になって聴かないことがあるのは、ぼくだけなのでしょうか…。

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