スウィトナーのベートーヴェン「英雄交響曲」

今日の東京は午前中は曇り空でしたが、午後に入って日が差すようになり気温もぐんぐん上昇してきました。この調子だと、今年のゴールデン・ウィークは天気に恵まれるのではないでしょうか。

今日は大名曲、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」作品55を聴きました。演奏はオトマール・スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ、1980年6月20日から23日にかけての録音です。

まず第1楽章がカッコイイ。スケール雄大で、ダイナミックな楽章です。白雲ただよう青空の中をめがけて、飛行機に乗って出発するようです。冒頭のスケールの大きさは、ベートーヴェンの全作品の中でも、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」と並び、屈指のものではないでしょうか。ぼくは10代の頃、初めて「英雄」の冒頭を聴いてカッコイイなと思ったのを覚えています。

第2楽章の有名な葬送行進曲は、一世を風靡した英雄の死にふさわしい壮絶と悲嘆がみなぎっています。第3楽章は活発で短いスケルツォです。
そして第4楽章がすばらしい出来です。オーケストレーションを最大限に発揮した楽章で、壮大で、言葉でうまく表現できないのですが、波乱万丈というかそんな気持ちがします。

「英雄」は名曲ですが、今日のような春の日に聴くのがいちばんふさわしいのではないでしょうか。ぼくはベートーヴェンのニック・ネーム付きの4曲の交響曲の中で「英雄」が最も好きです。

スウィトナーの演奏は、デジタル初期のものですが、録音がたいへんすばらしい。当時の日本コロムビアの録音技術の優秀さを物語っています。スウィトナーの演奏は、明快で流麗なもので、自己主張を控えて曲の良さを引き出そうとする姿勢で貫かれています。当時のベルリン・シュターツカペレは、壁を隔てたベルリン・フィルが世界的な高級ウイスキーだったとすれば、日本酒の地酒のようなもので、決して機械的な演奏に陥ることなく、人間の血の通った柔らかい演奏を聞かせてくれます。

ここからは余談です。ぼくはベートーヴェンの交響曲全集は8種類持っていますが(録音順に、トスカニーニ、コンヴィチュニー、ベーム、カラヤン(70年代)、スウィトナー、アーノンクール、バレンボイム)、その中から一つ選べと言われたらスウィトナーを選ぶというくらい、スウィトナー盤が好きです。そして、モノラル時代のトスカニーニ、ステレオ時代のカラヤンと合わせて、ベスト・スリーです。個々にはフルトヴェングラーの「英雄」など大好きな録音もありますが…。

さらに余談です。交響曲と並びべートーヴェンの作曲の柱となっていたのが弦楽四重奏曲とピアノ・ソナタですが、弦楽四重奏曲全集は10数種類持っています。その中では、モノラル時代のバリリSQ、ステレオ時代のズスケSQ、デジタル時代のタカーチSQが好きでいます。他にステレオ時代のハンガリーSQも好きです。
ピアノ・ソナタ全集は8種類持っていますが、モノラル時代のナット、ステレオ時代のケンプ、デジタル時代のアラウが好きでいます。ただしステレオ時代のバックハウスは何百回と聴いてきた忘れられない録音です。

もし島流しにされたら、スウィトナーの交響曲と、ズスケSQの弦楽四重奏曲と、ケンプのピアノ・ソナタはどうしても持って行きたいものです。

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