ボロディンSQのブラームス「弦楽四重奏曲第2番」

過日、ブログ仲間の凛虞さんから、ボロディン四重奏団の元チェリスト、ヴァレンティン・ベルリンスキーさんが昨年2008年12月15日に逝去したというニュースを知らせていただきました。
凛虞さんにお礼のコメントをしようとしたところ、エラー・メッセージが出てうまくいきませんでした。
そこでこの場を借りて厚くお礼申し上げます。

またベルリンスキーさんの御冥福を衷心よりお願い申し上げます。
ベルリンスキーさんは、1944年のボロディン四重奏団の結成以来のメンバーですから、享年は90歳近かったのではないでしょうか。しかし一昨年2007年まで現役で、1974年に同四重奏団の第1ヴァイオリンがロスティスラフ・ドゥビンスキーからミハエル・コペリマンに交代して以来、ずっと同四重奏団のリーダー格でした。ロシアの室内楽界の大黒柱というべき存在だったのです。
ぼくは2005年、引退直前期のベルリンスキーの実演に接したことがあります。謹厳実直な老人という雰囲気でしたが、約85歳と思えないほどお元気そうでした。その後、Chandosから復刻されたドゥビンスキー時代の録音のジャケットで若い頃のベルリンスキーの風貌を見て、たいへん精悍そうなのに驚き、演奏家寿命の長い理由を見つけたような気持ちになったものです。

ところで、ボロディン四重奏団というと、ショスタコーヴィチのイメージが強いのではないでしょうか。実際、同四重奏団は、第1vnがドゥビンスキーだった時代とコペリマンだった時代の2回にわたり、旧メロディアにショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集を録音しており(ただし、1回目は14,15番のみ未録音)、ともにショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の名盤という評価を確立しています。
しかしそれだけでなく、特に旧ソ連のペレストロイカの80年代後半から録音活動は活発で、英Virgin Classicsにベートーヴェンの選集を録音しているほか、独Teldecに移籍しシューベルト、ブラームス等、さらに96年に第1ヴァイオリンがルーベン・アハロニアンに代わってから英Chandosにベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を完成させています。その上、ピアノのスヴャストラフ・リヒテルと組んでの録音も少なからず残っているわけですから、ロシアの弦楽四重奏団としては最も録音に恵まれた団体だといえます。

今日は、ベルリンスキーを偲んで、ボロディン四重奏団の録音を何か聴こうと思い立ちました。最近ブラームスをあまり聴いていなかったことから、ブラームスの弦楽四重奏曲第2番作品51の2を選びました。1990年11月の録音です。第1vnがミハエル・コペリマンだった時代の録音です(第2vnはアンドレイ・アブラメンコフ、vaはドミトリー・シェパーリン)。

ブラームスの室内楽は、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、ピアノ五重奏曲、クラリネット五重奏曲と名曲揃いなことから、3曲の弦楽四重奏曲は彼の作品の中では地味な存在なのではないでしょうか。ぼく自身はその中では、第3番はわりと好きなのですが、第2番となるとどんな曲だったか思い出せないほど長い間聴いていませんでした。

聴いてみると、穏やかな良い曲だなあと感じました。
第1楽章は、ブラームスの田園交響曲と言われる交響曲第2番を思い起こさせるくらい柔和ですし(ちなみにぼくはブラームスの交響曲の中では2番がいちばん好きです)、第2楽章は纏綿と歌い継がれる、息の長い穏やかな楽章です。いちど実演で聴いてみたい曲だと思いました。

ボロディン四重奏団の演奏は、同四重奏団らしく骨太で味付けの豊富な演奏で、この曲の気付かれにくい魅力を引き出した演奏だと思います。また同四重奏団とブラームスの意外な(?)相性の良さを感じさせるものです。
同四重奏団は90年代に入ると、第1vnのコペリマンが一人歩きをしているような側面があったのですが、この録音では調和の取れたアンサンブルを聴かせてくれます。

ベルリンスキー亡き後の新生ボロディン四重奏団のますますの活躍を祈りたいものです。


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