吉見俊哉『ポスト戦後社会』(岩波書店)

吉見俊哉『ポスト戦後社会 シリーズ日本近現代史⑨』(岩波書店=岩波新書)という本を読み終えた。本書は本年2009年1月20日の刊である。
著者の吉見氏は、1957年生まれ、現在、東京大学大学院情報学環教授とのこと。ぼくが吉見教授の本を読むのは、同じ岩波新書から2007年に出た『親米と反米』に次ぎ2冊目だった。
本書は、岩波新書からシリーズとして刊行されている「シリーズ日本近現代史」の9冊目で、だいたい1970年頃からちょうど現在までを対象としている。

ぼくは1960年代前半の生まれだから、1970年というとおぼろげに覚えている。当時は佐藤栄作氏が首相で、プロ野球は巨人が9連覇の途中だった。NHKの大河ドラマは「樅の木は残った」だったのではないだろうか。
その当時から現在までだから、本書は、ちょうとぼくがリアルタイムで経験した時代を扱ったものだということになる。
そのせいで、読んでいて、「ああ、そういえばそんなことがあった」と懐かしく思い出される出来事が多かった。その一方で、「そんなことが起きていたのか」と今まで知らずじまいでいた出来事もあった。自分自身がリアルタイムで見聞した時代が「歴史」として書物になり、語られるようになったと思うと、感慨を覚えてしまう。

本書は、1970年頃から現在まで約40年間を、政治・外交、経済・産業はもとより、家族・地域といった社会問題、人々の意識といった様々な角度からバランスよく振り返っている。
格差問題、エスニシティ・ビジネスを含む在日外国人といった今日的な問題についても言及され、意味づけがなされている。統計もほどよく引用されている。内容も分かりやすい。
しかしながら取り上げられている問題は驚くほど多く、それがまた実にバランスよく、コンパクトに新書形態を取って小著に収まっている。小著だがその射程圏は広く、内容的には大著だといえるのではないだろうか。

この40年間を振り返りその意味付けを考えるとともに、これからの将来を考えていくに際し、まず文句がつけようと
1冊だと思う。名著と言っても過言ではないと思う。



ポスト戦後社会—シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)
岩波書店
吉見 俊哉

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