ライプツィヒ四重奏団の演奏会

昨日7月24日(金)、東京・紀尾井ホールで行われたライプツィヒ弦楽四重奏団の演奏会に行ってきました。先週の読響の演奏会に続いて2週連続で演奏会に行ったことになりますが、2週続けてコンサートに行くというのはいったい何年ぶりか思い出せないほど久しぶりのことでした。

プログラムは次の通りでした。
 ハイドン: 弦楽四重奏曲第77番「皇帝」
 ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」
 (休憩)
 メンデルスゾーン: 弦楽八重奏曲(共演:玉井菜摘、景山裕子(vn)、市坪俊彦(va)、河野文昭(vc))

メンデルスゾーンの曲での共演者は、紀尾井シンフォニエッタ東京のメンバーです。

ぼくは、このライプツィヒ四重奏団というのはCDでも実演でもこれまで一度も聴いたことがなく、全くの初体験でした。この四重奏団を聴きに行こうと思ったのは、ブログ仲間で弦楽四重奏に詳しい方の評価が高かったからです。その方によると、ライプツィヒの弦楽四重奏団で最も有名なのはゲヴァントハウス四重奏団ですが、現在では同四重奏団よりライプツィヒ四重奏団の方が上でないかとのことです。
それにもう一つ興味があったのは、ライプツィヒ四重奏団がドイツのレーベル・MDGに多数の録音をしていることです。このMDGというレーベルは、ペーター・ノイマンのヘンデルのオラトリオ・シリーズを発売していますが、ぼくは今年になったからこのヘンデルのシリーズの存在を知ってたいへん好きになり、「テオドーラ」に始まり、「サウル」「スザンナ」「ベルシャザール」と次々に入手しました。それで同じレーベルから出ているライプツィヒ四重奏団の演奏も聴いてみたくなったのです。

ライプツィヒ四重奏団のメンバーは次の通りでした。
 シュテファン・アルツベルガー(第1vn)
 ティルマン・ビュニング(第2vn)
 イーヴォ・バウアー(va)
 マティアス・モースドルフ(vc)

当日のプログラムを見て初めて知ったのですが、ライプツィヒ四重奏団は1988年の創立以来、アンドレアス・ザイデルが第1vnだったのですが、2008年にシュテファン・アルツベルガーに交代したのだそうです。カルテットの場合、第1vnが交代すると、カルテットのスタイルが一変したり、そうでなくてもアンサンブルが熟成するためにはある程度の年月が必要なものです。
そういうわけで、少し不安を抱えながら聴き始めることになりました。

まずライプツィヒ四重奏団の奏者が登場して分かったのですが、奏者の座る位置が、向かって左から第1vn、第2vn、vc、vaで、通常とはヴィオラとチェロが逆でした。このような配置はぼくのうろ覚えですが、以前はウィーン・スタイルと呼ばれていたのではないでしょうか。現役のウィーン四重奏団はこの配置だと思います。しかし思い起こすと、同じウィーンでもウィーン・ムジークフェライン四重奏団や昨年解散したアルバン・ベルク四重奏団は通常のチェロがいちばん左の配置だったので、ぼくの「ウィーン・スタイル」というのは記憶違いかもしれません。

さて、肝心の演奏です。

まずハイドンの「皇帝」ですが、冒頭を聴いたところ「ああ、ライプツィヒの音だ」という思いがしました。決して美麗でない、くすんだ、木目のような音。近年のカルテットは、美麗でボリュームのある音を出す団体が多いように思いますが、ライプツィヒ四重奏団から聴こえてくるのは、昔懐かしの人の血の通った音です。このような音を聴くことができただけで、もうこのコンサートに来てよかったと思ったほどでした。

「皇帝」の演奏ですが、第1vnのアルツベルガーが力が入りすぎ弾きすぎのようで、まだ4人が一体となったアンサンブルが確立されているとは言いがたいように思いました。
しかし次のベートーヴェンの「ラズモフスキー第3番」の演奏は良かったです。これはたいへんスケールの大きい曲で、それゆえスケールの大きい演奏をする団体も多いのですが、ライプツィヒ四重奏団の演奏はあくまでこの曲を室内楽として捉えているようです。この曲をこのように室内楽的に演奏する団体は近年少ないように思います。ぼくとしては、たいへん好感を持ちました。

休憩をはさんでのメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」ですが、この曲はメンデルスゾーンが16歳の時に作曲した、彼の早熟の天才ぶりを示す傑作として知られていますが、弦楽四重奏を2つ必要とするという特異な構成のせいで実演ではめったに聴くことのできない曲です。ぼく自身も実演で聴くのは初めてでした。
これまでこの曲の魅力は第2楽章での美しく悲しい旋律と第4楽章のフーガにあるように思っていました。しかしライプツィヒ四重奏団と紀尾井シンフォニエッタ東京のメンバーの演奏を聴いて、ぼくが変なのかもしれないのですが、同じ主題が繰り返し現れる第1学章に迫力というかメンルデルスゾーンの天才性のようなものを感じました。
演奏は十分良かったですが、第1vnのアルツベルガーが随所に力強く弾きすぎているような気がしました。紀尾井シンフォイニエッタ東京の方々は高い技術を持った好演奏で、特にヴァイオリンのお2人の演奏は光っていました(特に第3vnの玉井さん)。

このように昨日のライプツィヒ四重奏団のコンサートは行ってよかったと思える満足のいくものでした。
同四重奏団は、MDGレーベルにベート-ヴェンやシューベルトの弦楽四重奏曲全集など多数の録音を行っています。MDGレーベルが値段が高めなのですが、HMVのマルチバイなどを利用して購入を始めようという気持ちになったのです。
 

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