ゲヴァントハウス四重奏団のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番『ラズモフスキー第3番』」

本ブログでは、本年7月31日にチェコのヴラフ四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」、8月16日にハンガリーのバルトーク四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー第2番」と、旧東欧圏のカルテットによるラズモフスキー四重奏曲の記事を書いてきました。
今日はその3回目で、旧東独のゲヴァントハウス弦楽四重奏団による弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」です。
1977年、日本の坂戸文化会館でのVictorから出ている録音です。

録音当時のゲヴァントハウス四重奏団のメンバーは次の通りです。
 ゲルハルト・ボッセ(第1vn)
 ギュンター・クラス(第2vn)
 ディートマル・ハイマン(va)
 ユルンヤコブ・ティム(vc)

さて、ラズモフスキー第3番ですが、ベートーヴェンのみならず古今のすべての弦楽四重奏曲の中で最も実演で演奏される回数の多い作品なのではないでしょうか。
明るく輝かしい第1楽章、寄せては返す波のような不安感のようなベートーヴェンの内心を表現した第2楽章、優雅な第3楽章、カッコイイ聴き応えのあるフーガが奏される第4楽章と、各楽章の性格が明確なことが、演奏家・聴衆に双方にとっての人気の大きな要因だと思います。

ゲヴァントハウスSQの演奏ですが、古き良き時代のゲヴァントハウスを実感させるものです。まず、くすみがかかって、生きた木肌を思わせる音色が何ともいえない心地のよさを感じさせてくれます。演奏も、テンポを揺らさず、昔のドイツらしいかっちりとしたもので、堅実・着実な演奏です。
この曲に緊張感を求める方には不満を覚える方もおられると思いますが、ぼくとしてはたいへん満足できる演奏です。

ところでこの録音は、上記のように、最近まで日本の新日本フィルの音楽を務めてられたゲルハルト・ボッセ氏がゲヴァントハウスSQの第1ヴァイオリンだった時代のものです。

以下は脱線です。
ぼくがゲヴァントハウスSQを初めて聴いたのは80年代前半にFM放送でのことでしたが、その時には第1vnはボッセからカール・ズスケに交代していました。ぼくはそのズスケ時代のゲヴァントハウスSQの演奏が忘れられず、80年代後半の本格的なCD時代を迎えた頃、徳間ジャパンから出ていたズスケが第1vnだった時代のベルリンSQのベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を買い求めました(当時は1枚3,200円もしました)。
これが今まで25年近く続いているベルリンSQ(ズスケSQ)のベートーヴェンとぼくとの出会いだったのです。

ゲヴァントハウスSQは現在、第1vnがズスケからフランク=ミヒャエル・エルベンに交代しており、ボッセ時代のメンバーで今も残っているのはチェロのティムだけのようですが、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を完成するなど、意欲的な活動を繰り広げているようです。
それはもちろん好ましいことですが、ボッセ時代、ズスケ時代のゲヴァントハウスSQの録音は、各メンバーがゲヴァントハウス管弦楽団の奏者で常設の四重奏団でなかったせいか、極めて少ないです。
ボッセ時代、ズスケ時代にもう少したくさんの録音を残してほしかったという気持ちがします。


追記 本局に関しては、昨年、ブッシュ四重奏団による演奏の記事を書いたことがありましたので、自己TBします。

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