ブレンデルのモーツァルト「ピアノと管楽のための五重奏曲」

今日は5連休の3日目です。東京は曇り空の涼しい1日でした。

今日はモーツァルトの「ピアノと管楽のための五重奏曲K452」を鑑賞しました。演奏者は次の通りです。
 アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
 ハインツ・ホリガー(オーボエ)
 エドゥアルト・ブルンナー(クラリネット)
 ヘルマン・バウマン(ホルン)
 クラウス・トゥーネマン(バスーン)

1986年7月1、3日のPHILIPSへの録音です。

ピアノと5個の木管楽器で構成されるというたいへん異色の室内楽曲です。コンサートではめったに取り上げられることありません。後年ベートーヴェンが同じ構成の室内楽曲を作曲していることから、CDでは通常、ベートーヴェンの作品とカップリングされています。
モーツァルトが本曲を作曲したのは28歳の時ですが、たいへん自信作だったようで、「自分がこれまで作曲した中で最高の作品」という実父への手紙の中で書いたというエピソードがあります。

本曲を聴いていると、弦楽器が一挺もないせいで、たいへん軽快で優雅に聴こえます。木管楽器4台もぞれぞれ異なる楽器ですから、音色の変化が楽しく、色彩感の豊かな曲です。
全曲は急・緩・急の3楽章構成ですが、楽器がピアノと木管楽器という構成のせいか、急と緩という楽章間の差はあまり感じられません、全曲を通じて、明朗でのどかで優雅な楽想です。また色彩感の変化とどことなくユーモアが感じられ、聴いていて楽しい曲でもあります。
今日のようなのんびりした休日に聴くのにふさわしい1曲だと思います。

演奏ですが、上述のようにたいへん豪華なメンバーです。
この曲を録音するのなら、ベルリン・フィルのようなオーケストラの木管楽器の各パート奏者4人と有名ピアニストを集めて録音するのが、製作サイドとしては楽で、演奏面でも精密なアンサンブルを期待できると思いますが、本録音では、当時世界一のオーボエ奏者だったホリガーを始めソリスト級の名手を集め、ピアニストには録音に慎重なことで有名なブレンデルを招いています。
1986年というクラシックCDの全盛期だったからこそ成立した企画だと思います。

本曲の演奏を聴いていると、ブレンデルのリードの下、名手たちがアンサンブルを楽しんでいるのが感じられ、聴いている方も楽しくなってきます。ホリガーはもちろんですが、ホルンのバウマンの歌い回しが見事でした。この曲はホルンの聴かせどころが多いのかもしれません。

ちょっと脱線ですが、昨年引退したブレンデルは室内楽の録音の少ないピアニストです。70年代後半にクリーヴランド四重奏団と共演したシューベルト「ます」は有名ですが、それ以外は、ヴァイオリンのツェートマイアーらとの「ます」の再録音、ホリガーと共演したシューマンの「オーボエとピアノのための作品集」、それに本録音が目立つ程度です。

しかし、これは自分の推測ですが、ブレンデルは声楽家のディートリヒ=フィッシャー・ディスカウの伴奏を好んで務め、引退直前期には自分よりずっと若いバリトンのマティアス・ゲルネの伴奏も買って出ていることから、室内楽を好まなかったということは決してないのではないでしょうか。
クリーヴランド四重奏団の共演が、シューベルト「ます」の大ヒットにもかかわらずなぜ続かなかったのかは謎です。同四重奏団は80年代に第1vnの交代があったらしく、そのことが影響しているのかもしれません。
また大ヴァイオリニスト、大チェリストとの共演は、企画が難しかったと容易に推測できますが、例えばゲルハルト・ヘッツェルのような大オーケストラのコンマス・クラスのヴァイオリニストとの共演が残されていれば、面白かったと思います。
ブレンデルに室内楽の演奏があまり残されないまま、昨年の引退に至ったのは、残念なことだと思います。

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