ティル・フェルナーの演奏会(4月24日)

昨日4月24日、東京・飯田橋のトッパン・ホールで行われたティル・フェルナーのピアノ・リサイタルに行ってきました。
フェルナーは1972年、ウィーン生まれのピアニストです。近年、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」や、ケント・ナガノとの共演でベートーヴェンのピアノ協奏曲をECMレーベルに録音し、急速に注目を集めているピアニストです。

昨日はフェルナーが2008年秋から全世界で行っているベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズの第6日夜でした。
演奏曲目は次の通りでした。

 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第9番作品14ー1
 同 第10番作品14-2
 同 第8番作品13「悲愴」
 (休憩)
 同 第11番作品22
 同 第26番作品81「告別」

ベートーヴェンの初期ソナタを中心にしたプログラムです。フェルナーの演奏順がベートーヴェンの作曲順と異なっていますが、3大ソナタの1つである「悲愴」ソナタをその日のメイン・プログラムとして真ん中に置き、最後を6大ソナタの1つに数えられる「告別」ソナタで締めくくるという構想だと思います。

ベートーヴェンの初期ソナタというと近年あまり話題に上らないように思いますが、ぼくの考えでは、少なくとも第8番「悲愴」から14番「月光」にはさまれた9番から13番までの5曲はいずれも名曲です。ベートーヴェンの青年時代の瑞々しい感性、やさしさ、情熱というものが克明に現れています。
ぼく自身はロマンの豊かな9番が特に好きでいますが、優雅な10番、伸びやかな楽想の11番、いずれも名曲だと思います。

さてフェルナーの演奏ですが、正々堂々とした本格的な演奏だと思いました。古楽器演奏の影響など微塵も感じさせず、ペダルを多用し、肉の厚い音を鳴らしてくれます。テクニックは磐石で素晴らしかったです。
とりわけ「悲愴ソナタ」の第1、3楽章での感情が奔流のように流れていくような表現に、大きな感動を得られました。反面、「告別ソナタ」はもっと穏やかな表現の方がよいように思いましたが…。

総じて、ドイツ・オーストリアのピアノ音楽の王道を見るような正統派のすばらしい演奏会だった思います。
ウィーンの若い世代にこのような素晴らしいピアニストが出現したことを頼もしく思って帰宅しました。

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