パールマン/ジュリーニのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」

本日は、晴天で初夏という言葉がぴったりするような陽気でした。
今日は朝から、ブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」作品77を聴きました。演奏はイツァーク・パールマン(vn)とカルロ・マリア・ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団です。1976年11月30日及び12月1日のEMIへの録音です。

ブラームスはいろいろな側面を持った作曲家です。一般には交響曲第4番に代表される深刻な暗さを持ったブラームスのイメージが強いのかもしれませんが、明るく叙情的なブラームス、フレッシュで若々しいブラームスも存在します。
この点は、同じドイツで同年代の作曲家ブルックナーと対照的だといえるでしょう。ブルックナーは生涯を通じて、オーケストラを用いて、世界・宇宙・神、そういったものを描こうとしていました。

さて、今日聴いたブラームス唯一のヴァイオリン協奏曲は、交響曲第2番やピアノ協奏曲2番と並び、明るく清朗で、叙情的なブラームスを代表する名曲です。また、交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番と同様、ブラームスが夏に避暑のため訪れていたオーストリア南部のペルチャッハの美しい景色に触発されて作曲した作品です。
第1楽章から何とものどかで、美しく、清朗な旋律が続きます。第2楽章の叙情性もすばらしいし、第3楽章は一転して引き締まります。
ぼくは、この曲の最大の魅力は、全体の半分以上を占める第1楽章ではないかと思います。本当に穏やかで、のどかで、美しいです。まるで夏のペルチャッハの美しい景観が目に浮かぶようです(といっても、ぼくはペルチャッハに行ったことはありませんが)。本パールマン盤で24分という長い楽章ですが、長いという気持ちになりません。それどころか、美しい景色をいつまでも見ていたいように、この美しい曲をいつまでも聴いていたいという気持ちになります。

音楽評論の大御所だった故・吉田秀和さんは名著『LP300選』(ぼくの持っていたのは新潮文庫版でしたが、現在は『名曲300選』と改題してちくま文庫から出版されているようです)の中で、ブラームスの全ての作品の中から1曲選ぶとしたらこの曲を選ぶと述べておられました。

パールマンは、後年この曲をバレンボイムとも共演していますが、今日聴いたジュリーニとの共演は31歳(パールマンは1945年生まれです)という若い時代の録音です。
最近はパールマンの話題をあまり聞かなくなりましたが、70年代から80年代のパールマンは、ギドン・クレーメルとともにこれからのヴァイオリン界を引っ張っていく若手として期待されていました。本録音でも、美麗で豊かな音色で、ブラームスの美しい旋律を歌心たっぷりに演奏します。パールマンとこの曲との相性の良さを感じさせます。最近多い古楽器派の影響を受けた演奏スタイルよりも、パールマンのように十分ヴィブラートをかけた豊満な演奏スタイルが、この曲に合っているように思います。
また、ブラームスを得意にしていたと思われるジュリーニのバックがすばらしいです。ジュリーニらしいゆっくりテンポで、じっくりと歌い上げていきます。

曲と演奏家の幸福な出会いの一例なのではないでしょうか。


追記 ブラームスのヴァイオリン協奏曲については、過去にフランチェスカッティ/バーンスタイン盤の記事を書いたことがあるので、その記事自己TBしました。

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