カザルス・トリオのベートーヴェン「大公トリオ」

今日の東京は曇り空が多く寒い1日でした。今日はベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番作品96「大公」を聴きました。演奏はアルフレッド・コルトー(p)、ジャック・ティボー(vn)、パブロ・カザルス(vc)のカザルス・トリオです。1928年の録音です。

管理人はベートーヴェンの中期の終わり頃の作品を特に好んでいます。中期の「運命」交響曲や「皇帝」協奏曲などの「傑作の森」と呼ばれるスケールの大きい豪華な作品群が作曲された後の穏やかな作品です。具体的には、弦楽四重奏曲第10番「ハープ」、ピアノ・ソナタ第24~27番、ヴァイオリン・ソナタ第10番、交響曲で言うと第8番です。この時期の作品はスケール感では「傑作の森」の作品に劣りますが、穏和で何とも言えない情感が出てきます。傑作群を書き終えた後の解放感と、後期の深奥幽玄な世界へつながる温順な雰囲気が感じられるのです。
今日聴いた「大公トリオ」はその時期の作品です。古典的な4楽章形式で、全体的に穏やかで、落ち着きが感じられます。緩徐楽章に当たる第3楽章は情感が豊かです。全体的に聴いていて幸せな気持ちになり、いつまでもこの曲を聴いていたいという気持ちになります。

カザルス・トリオの演奏は、昔から大公トリオの決定的名盤として評価の高い演奏です。戦前の録音ゆえ録音状態は悪いのですが、録音状態の悪さを超えて響いてくるものがある、という評価のようです。
今日聴いてみると、生き生きとして自由奔放なコルトー、ポルタメントのかかった古めかしく個性的なティボー、がっちりとして力強いカザルスということになるかと思いますが、バランスの良い演奏だとはお世辞にも言えず、アンサンブルとしてどうか、と思います。またティボーの演奏スタイルが古めかしいことは否定できません。
名手3人による「大公トリオ」の共演と言えば、この後のルービンシュタイン、ハイフェッツ、フォイアマンの「百万ドルトリオ」や、戦後になってからオボーリン、オイストラフ、クヌシェヴィツキーのオイストラフ・トリオ、アシュケナージ、パールマン、ハレルのトリオ、現代では、管理人は未聴ですがメルニコフ、ファウスト、ケラスのトリオなどが録音しています。常設のピアノ・トリオではスーク・トリオやボザール・トリオによる録音があります。これら後続の演奏と比較して、録音状態の悪いカザルス・トリオの演奏が上だとは管理人には思うことはできません。カザルス・トリオ盤は「レコード芸術」誌の名盤選びでは毎回のようにトップを占めているようですが、管理人には理解できないことです。

このようにリファレンスとはなりえないにせよ、非常に個性的な演奏であることは事実なので、何年かに1回、この演奏で聴いてみたい、そういう気持ちが起きた時に聴けばよい演奏、管理人の中ではそのような位置付けでいます。




ベートーヴェン:大公トリオ、シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番
ワーナーミュージック・ジャパン
カザルス・トリオ

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ベートーヴェン:大公トリオ、シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

"カザルス・トリオのベートーヴェン「大公トリオ」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント