ジュリアード四重奏団の演奏会(10月24日)

一昨日10月24日(水)、東京・銀座のヤマハホールで行われたジュリアード弦楽四重奏団の演奏会を聴きに行きました。同四重奏団の現在のメンバーは次の通りです。
アレタ・ズラ(第1vn))
ロナルド・コープス(第2vn)
ロジャー・タッピング(va)
アストリッド・シュウィーン(vc)

ジュリアード四重奏団は1946年創設の名門ですが、創設から1996年までの50年間、ロバート・マンが第1ヴァイオリンを務め、彼がリーダー格でした。マンの引退後、第1ヴァイオリンはジョエル・スミルノフ→ ニコラス・イーネット→ジョセフ・リンと変遷し、現在のアレタ・ズラは先月2018年9月に就任したばかりの第5代の第1 ヴァイオリ二ストということになります。
管理人がズラを見るのは当然初めてですが、若く綺麗な女性でした。
また第1ヴァイオリン以外のメンバーは、1997年にジュリアード四重奏団に入団した第2ヴァイオリンのロナルド・コープスが最も古くからのメンバーで、ヴィオラのタッピング、チェロのシュウィーンは2000年代または2010年代の入団のようです。したがって、ジュリアード四重奏団のメンバーとしての活動歴が比較的浅いメンバーが多いことになります。
またチェロのシュウィーンは女性で、4人中2人が女性ということになります。

ジュリアード四重奏団は来日回数は多いはずですが、管理人にとって生で聴くのは実は初めてでした。理由はロバート・マン時代は仕事が忙しくて行けない時が多く、マン引退後はロバート・マンのいないジュリアード四重奏団を聴くことにどんな意味があるのだろうかという思いから今日まで足を運ばずにいたのです。CDはベートーヴェン・バルトークの弦楽四重奏曲全集を始め、多数所有しているのですが…。
今から考えると第2代の第1ヴァイオリン、ジョエル・スミルノフはマン時代に長く第2vnを務めていた奏者で、スミルノフ時代に行かなかったのは悔やまれます。

前置きが長くなりましたが、一昨日のプログラムは次の通りでした。

ハイドン/弦楽四重奏曲ヘ長調「雲が行くまで待とう」Op77-2
バルトーク/弦楽四重奏曲第3番
(中休み)
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第11番ハ長調Op61

ハイドンの弦楽四重奏曲「雲が行くまで待とう」は管理人のたいへん愛好している曲です。ハイドンの交響曲等、弦楽四重奏曲以外のジャンルを合わせた全ての作品の中で、最も好きなのがこの曲かもしれないほどです。この曲の特に第3楽章の変奏曲は、穏和で軽やかでユーモラスで、神韻飄々としていると言っても過言ではないと思います。しかし実演ではあまり取り上げられることのない曲で、管理人がこの曲を生で聴くのは初めてでした。
一昨日のジュリアード四重奏団の演奏会に行った大きな理由は、この曲を生で聴きたいがためだったのです。

またバルトークの弦楽四重奏曲第3番は、弦楽四重奏曲第1番・第2番がハンガリーの民族的要素を残していたのに対し(だからと言って管理人が1番・2番に否定的なのではありません。むしろバルトークの6曲の弦楽四重奏曲の中では1番・2番に魅力を感じます)、前衛的な方向に大きく足を踏み出した作品です。短い曲ですが、非常に凝集性の強い、中身の濃い作品です。
また、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第11番は、有名な第12番「アメリカ」の直前の作品ということになります。特に第2楽章の緩徐楽章にチェコの民族的要素が感じられる中々の佳曲ですが、実演ではまず取り上げられない曲で、録音でもドヴォルザークの弦楽四重奏曲全集の一環として録音される場合以外は取り上げられないように思います。

このように一昨日のジュリアード四重奏団の演奏会は、管理人にとって実演で聴きたい曲が多く、プログラミングに妙味を感じました。

さてジュリアード四重奏団の演奏ですが、まず感じたのは管理人が録音を所有しているロバート・マン時代のジュリアードとは違うということです(当然のことですが)。管理人は特に、ヴィオラのヒリヤーやチェロのアダムの在籍していた、マン時代の前期の録音を多数所有しているのですが、この時代は曲を客観的に捉えるシャープでダイナミックな演奏でした。
一昨日聴いた現在のジュリアードの演奏は、特にハイドンで第1vnのズラが濃厚で大胆な演奏を聴かせ、果たしてハイドンの曲想と適合しているのかという疑問を感じました。
バルトークとドヴォルザークはジュリアードらしい客観性を維持し、時折シャープさを見せるものの、普通の演奏という感想を持ちました。またこれらの曲ではズラが一人歩きすることはなかったと思います。

このように書くと管理人が一昨日の演奏会に良い印象を持たなかったように見えるかもしれませんが、4人の奏者が高い技術を有していることは事実です。 マン時代と同じくらいかそれ以上かもしれません。ただ、ズラが入団1ヶ月ということもあって、カルテットとしてみた場合、自らの個性を打ち出すまでには至っていない、というのが管理人の抱いた感想です。

なおアンコールは、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」第2楽章でした。ズラの声でアンコール曲が告げられました。

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