アラウのブラームス「ヘンデル変奏曲」

今日の東京は晴れのち曇りの寒い1日です。
今日はクラウディオ・アラウの演奏するブラームス「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」作品24(以下「ヘンデル変奏曲」と省略します)を聴きました。1978年4月の旧PHILIPSへの録音です。

ブラームスのヘンデル変奏曲は、作品番号で分かるようにブラームスの青年時代、28歳の時の作曲です。愛慕していたクララ・シューマンの誕生日にために書かれ、クララによって初演されたという作品です。内容は非常に充実しており、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」、ベートーヴェンの「ディアベルリ変奏曲」と並び古今の三大変奏曲と言われる作品です(またはシューマンの交響的練習曲を入れて古今の四大変奏曲」とも言われます)。
ブラームスというと、一般には重厚、渋いというイメージが強いのではないでしょうか。管理人はそのようなイメージは彼の4曲の交響曲の影響が強いように思いますが、それはともかく、青年期のブラームスは若々しくフレッシュな作品を残しています。ピアノ協奏曲第1番はその典型です。
本曲ヘンデル変奏曲も、青年らしいフレッシュな作品のように思います。ヘンデルによる主題と25の変奏曲、そして最後に置かれたフーガから成る作品で、主題から展開していく各変奏曲はまさしく千変万化ですが、底流には青年らしい情熱とロマンティックな感情、叙情性が流れているのではないかと思います。
そこがベートーヴェン晩年の「ディアベルリ変奏曲」と異なる点のように思います。ディアベルリ変奏曲が深さ・玄妙さと、ある種の軽み・ユーモアを湛えているのに対し、ブラームスのヘンデル変奏曲は若々しくフレッシュです。
また本曲は青年ブラームスの大変力のこもった、創作意欲・表現意欲にあふれた作品だということもできます。また聴いていて演奏技術上大変困難な作品だということも分かります。

ただ本曲はバッハのゴルトベルク変奏曲はもちろん、ベートーヴェンのディアベルリ変奏曲と比べても録音数が少なく、管理人はケンプ盤と本アラウ盤を所有しているだけです。この両者以外では、R・ゼルキン盤、それにブラームスのピアノ作品の全曲録音を果たしたペーター・レーゼルが目に付く程度です。ブレンデルは本曲を録音していないのでしょうか。今後はポール・ルイスに期待したいところですが…。

アラウの演奏は、管理人が数年前、彼の「Complete Philips Recordings」というボックスを購入した時、その中に収録されていたものです。アラウらしく細部に至るまで克明に演奏された名演です。それでいて変奏曲が次々に展開されていく流れの表現も上手いものです。技術上も問題はないように思います。ブラームスを得意としたアラウならではの大名演だと思います。管理人は本演奏を聴いて、アラウのベートーヴェン「ディアベルリ変奏曲」での名演を思い起こしりしました。
日本ではアラウやブレンデルのように知的に構築された演奏を聴かせるピアニスト(「主知派」と言ってよいでしょう)よりも、ホロヴィッツやアルゲリッチのような自らの感性に忠実なピアニスト(「主情派」)の方が人気があるように思いますが、管理人は主知派の方に惹かれます。アラウのベートーヴェンやブラームスは、管理人にとって一生の宝なのです。

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