ジュリアードSQのベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番『ラズモフスキー第3番』

今日は4連休の2日目です。東京は曇り空で湿度が高く、暮らしにくい1日です。
一昨日政府の「GO TOトラベル」キャンペーンが開始されましたが(ただし東京は除外)、失政というほかありません。新型コロナウイルスの感染が全国に拡大している中で国民の観光を推進するなど、コロナの感染拡大を促進するようなものです。

さて今日の1曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番ハ長調作品59ー3「ラズモフスキー第3番」です。演奏はジュリアード弦楽四重奏団です。1964年5月19〜21日の旧CBSへの録音です。

本曲はベートーヴェン中期の最高傑作の一つであり、ベートーヴェンのみならず弦楽四重奏曲の歴史における最高傑作、ピークというべき名作です。コンサートで取り上げられる機会も多く、管理人自身、5〜10回、生で聴いたことがあるように思います。
第1楽章はただならぬ気配から一転して晴れ晴れとした清明な曲想に変わります。
第2楽章はアンダンテです。第1楽章から一転して、行きては返すような沈鬱な楽想となります。
第3楽章はメヌエットですが、すぐれた出来栄えではないでしょうか。後期ベートーヴェンに通じるような温和な明るさが感じられます。
第4楽章は有名な楽章です。圧倒的なダイナミズムが満ちています。特にコーダが圧倒的です。たいへんカッコよく曲を終わります。

ジュリアードSQの演奏ですが、録音当時のメンバーは次の通りです。
ロバート・マン(第1vn)
イシドール・コーエン(第2vn)
ラファエル・ヒリヤー(va)
クラウス・アダム(vc)
メンバー的に同SQの全盛期と言ってよい時代の録音です。
同SQの1960年代のベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音のうちの1曲です。同SQは、第2vn以下の3人がメンバー・チェンジした後の1980年代にも、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲録音を果たしていますが、一般には1960年代の初回録音の方が高く評価されているように思います。

今日聴いてみて、ジュリアードSQの即物的でダイナミックなスタイルと曲の性格との相性が良いように思いました。特に第4楽章でそのように感じました。
1960年代のジュリアードSQは第1vnのマン以外も腕達者な奏者を揃えており、4人の奏者が腕を競い合うような感がありましたが、本曲の特に第1・4楽章でそのようなスタイルと曲との相性が良いように思います。
またダイナミック一辺倒ではなく、第3楽章での意外にゆっくりしたテンポでのみずみずしい表現は印象に残ります。

一点問題に感じたのは、録音です。抜けが悪いうえ音色の美しさが足りないと思います。1960年代半ばという時期的なハンディのせいかもしれませんが、リマスターの問題もあるのではないか、とも思います。
旧CBS(現ソニー・クラシカル)の録音は、リマスターの時期により当たり外れがあります。管理人が今日聴いたCDは2000年代前半に購入したのではないかと思いますが、今ならもっと美しい録音で聴くことができるのではないかと思います。

ところで本曲については、ブログ仲間の方が現在、10種類以上の録音を比較試聴するという、意欲的な企画を試みておられます。拝読して分かったのですが、アルバン・ベルクSQ、タカーチSQ等と並び、本ジュリアードSQの1964年録音やピーター・ウンジャン時代の東京クヮルテットが評価されています。
録音されて50年以上が経過している本録音ですが、時代を超えて聴き継がれる名演なのでしょう。

管理人自身と本曲との付き合いは、故・吉田秀和先生の『LP300選』(当時は新潮文庫、現在は『名曲300選』と改題してちくま文庫より刊行中)を読んで、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲に名曲が多いと知り、聴き始めたのが1970年代後半だったので、もう40年以上の付き合いということになります(妻よりも長い付き合いです)。しかし何回聴いても聴き飽きることはありません。やはり好きなのだろうと思います。

聴き始めの頃は、当時の定番だったブダペストSQとスメタナSQで聴いていました。その後現在まで、色々なカルテットの本曲の演奏を聴いてきました。ジュリアードSQとの出会いは2000年を過ぎてからでしたが、アルバン・ベルクSQの登場(1970年代)以前に、こんなに技術的に高いものを持ったカルテットが活躍していたということが分かって、驚いた覚えがあります。
本曲の管理人にとってのファースト・チョイスがジュリアードかどうかになるとまた微妙ですが(上記のブログ仲間の方が仰るように、アルバン・ベルクSQ等他にも名演があるように思うからです)、ベスト・スリーにはどうしても入れたい録音です。

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