コヴァセヴィチほかのモーツァルト「クラリネット三重奏曲K498」

今日は4連休最後の日です。東京は今日も、雨が降ったり止んだりの梅雨らしい一日でした。

今日の1曲は、モーツァルトのクラリネット三重奏曲変ホ長調K498です。「ケーゲルシュタット・トリオ」というニックネームで呼ばれることの多い曲です。
演奏は、スティーヴン・コヴァセヴィチ(p)、ジャック・ブライマー(cl)、パトリック・アイルランド(va)です。1969年12月の旧PHILIPSへの録音です。ブライマーとアイルランドは管理人の知らない奏者ですが、PHILIPSのような大レーベルによってソロ奏者に起用されているので、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者ではないかと想像します。

本曲クラリネット三重奏曲「ケーゲルシュタット・トリオ」ですが、上記のようにピアノ、クラリネット、ヴィオラのアンサンブルです。ケーゲルシュタットというニックネームの由来ですが、ネットで調べたところ、当時ケーゲルというボーリングの原型のようなゲームがあったらしく、モーツァルトがケーゲルを楽しみながら本曲を作曲したというエピソードがあるため(ただし、そのことの真偽は不明だと思います)のようです。
本曲は3楽章構成で、楽譜指定は次のようになっています。

第1楽章 アンダンテ
第2楽章 メヌエット
第3楽章 ロンド

緩徐楽章からスタートするという珍しい構成です。
もっとも楽章間の起伏は小さいと感じます。第3楽章のロンドでも、弾けるような明るさではなく穏やかな曲調です。
最初から最後まで、温和で優雅でのんびりとした曲調です。モーツァルトならではの優美な世界です。クラリネットという穏やかさとユーモアと深さを合わせ持った楽器をアンサンブルの中心に持ってきたことが、曲の性格を決定づけているように思います。
モーツァルトが後年クラリネットのために作曲したクラリネット五重奏曲K581、クラリネット協奏曲K622では、明朗・優雅な表面の裏に哀しみの感情が感じられますが、本曲ではそのような要素は感じられないように思います。終始、春の日の陽だまりのような温和な曲なのです。

モーツァルトの室内楽というと弦楽四重奏曲、弦楽五重奏曲などが有名だと思いますが、管理人は、モーツァルトはピアノを使用した室内楽曲に名曲が多いと感じています。その最たるものは、40曲以上存在し宝の山というべきヴァイオリン・ソナタですが、本クラリネット三重奏曲も傑作の一つだと思います。カール・ライスターやザビーネ・マイヤーらクラリネットの名手が本曲を録音しているのも、その証左でしょう。

コヴァセヴィチ、ブライマー、アイルランドによる演奏は、堅実な趣のある演奏で、特にブライマーのクラリネットが室内楽の枠を守りながらも聴かせてくれます。管理人にとっては満足できる演奏です。

追記(8/6) 本記事は、当初「ケーゲルシュタット・トリオK498」というタイトルでしたが、「ケーゲルシュタット・トリオ」とはニックネームにすぎず、本曲は「クラリネット三重奏曲」という方がきちんとした名称だと思うので、タイトルをそのように変え、それに合わせて中身も書き換えました。

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