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zoom RSS バレンボイムのベートーヴェン「交響曲第8番」

<<   作成日時 : 2006/12/26 21:48   >>

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最近ぼくはベートーヴェンの中期の終わりに作曲された曲をよく聴いている。ピアノ・ソナタ第26番「告別」や第27番、弦楽四重奏曲第10番・第11番、ヴァイオリン・ソナタ第10番などである。これらの曲はあまりスケールが大きくなく、あまり斬新な感じもしない。どちらかといえば小規模で穏やかだ。ベートーヴェンが「傑作の森」といわれる中期の名曲を書き終えた後の手すさびのようであるが、そこには後期の玄妙な作品の胎動のものを感じ取ることができるような気がする。
さて交響曲でそのような存在を挙げるとすると、この第8番ではないだろうか。この曲は演奏時間は30分足らずであまり長くはなく、明朗な曲だが、穏やかなほどの良い明るさだ。ベートーヴェンの交響曲の中では地味な存在だが、聞けば聞くほど味わいの出てくる良い曲だと思う。

今日聴いたのは、ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンの演奏である。バレンボイムは1999年の5月から7月にかけて、同オーケストラとベートーヴェンの交響曲全曲を集中的に録音している。第8番もその中の1曲である。

日本ではバレンボイムは今ひとつ人気がないのではないだろうか。ぼくも少し前まではあまり好きではなかった。彼は指揮者とピアニストの両面で活躍しているわけだけど、ぼくは今でもピアニストとしてもバレンボイムはあまり好きではない。たとえば1980年代の半ばにEMIに録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ全集はいかにも作為的な演奏に思え、共鳴できなかった。では指揮者としてのバレンボイムはどうかというと、これも細部での繊細さか欠け、力で押しているようなイメージがあった。このブログでもシカゴ響と1990年代の前半に録音したブラームスの第2第と第3について不満を書いたことがある。

数年前に、ワーナークラシックスからバレンボイムのボックス・シリーズが発売された時、安価だったので、ブラームスの他、ベートーヴェンとブルックナーの全集を買った。ブラームスは今ひとつのように思ったが、ベルリン・フィルを振ったブルックナーが意外に良い演奏だった。深遠なブルックナーを好むファンは、特に最後の第7〜9番で不満を感じると思うが、気軽にブルックナーを聴きたい時はうってつけ。ベルリン・フィルの能力をよく生かした好演だった。それにシュターツカペレを振ったベートーヴェンも良かった。特に偶数番が良いと思う。この第8番でも、第3楽章でじっくりではなく程よく歌い、第4楽章は早めのテンポでかっこよく決めるところなど、良い出来だと思う。
このシュターツカペレ・ベルリンというオーケストラは、1980年代のスウィトナー時代までは、ドイツの昔ながらのローカルなオーケストラというイメージで、それがまた魅力だったのだけれど、1990年代前半にバレンボイムが音楽監督に就任してから、段々とインターナショナルな要素を身に付け始めたように思う。しかしベルリン・フィルのように全くのインターナショナルなオーケストラになったわけでなく、たとえばこの第8番での弦楽器も木管楽器も(特に後者)スウィトナー時代のローカルな色彩を残している。このようにインターナショナルとローカルのちょうど中間にいるのが魅力だ。

今では、バレンボイムとシュターツカペレ・ベルリンのコンビは、クリストフ・エッシェンバッハと北ドイツ放送響のコンビとともに、現代オーケストラの中でぼくが最も注目している存在である。

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アルトゥールさん、こんばんは!
コメントを頂いたことを機会に、ほぼ3年ぶりにこのエントリーをあらためて拝読させていただきました。深遠なブルックナーを否定する気は毛頭ありませんが、日常的にブルックナーを聞くとするならば、バレンボイムの演奏は所謂「リファレンス」となると思っておりますので、アルトゥールさんのご意見と全く同じと思います。(ただし、第5番に限って言えば、シカゴ響との旧盤が私の最も好きな演奏となります。)
TELDECのベートーヴェン交響曲全集は今もって手をつけていませんが、それはバレンボイムということより、弦楽四重奏曲と異なり交響曲についてはベートーヴェンへの関心が薄れていることが原因と思います。(こう思い始めて数年経ちますが、それでもなお、今年に入ってベルリンフィルとの第7交響曲を購入してしまいました(爆)。)
シュタツカーペレ・ベルリンとの演奏ではシューマンの再録音が思いのほか気に入りました。重厚で押し切ろうとして視点が定まらないまま鈍重となるのではなく、意外にも(?!)細かいところまで配慮が行き届いた演奏であり、これからもっと注目していこうと思った次第です。
凛虞
URL
2009/10/10 21:55
凛虞さん、コメント有難うございます。
貴コメントのおかげで、3年近く前の拙文を読み返すことができました。
3年前も今も同じことを言っていると思いました(汗)。40代後半に
なると、考えることが硬直的になるのだろうと思います。
バレンボイムのブルックナーの交響曲は、日常的に聞くリファレンスと
しては好適だと思います。ベートーヴェンもリファレンスとなりうる全
集だと思いますが、こちらはリファレンスの候補となりうるそれなりの
名演が他に多数あり(例えば同じベルリン歌劇場オーケストラを振った
スウィトナーとか、最近国内盤の出たカイルベルトなど)、特に入手す
る必要はないのではないでしょうか(笑)。
バレンボイムのブルックナーはシカゴ響を振った旧盤の方がよいという話
は聞いたことがあります。ただし残念ながら廃盤のようで、今まで入手で
きずにきました。
彼のシューマンは、シューマンの交響曲を自分が苦手としているため、
今まで買わないできました。
バレンボイムも70歳近い年齢となりましたね。これまではあまりにも
忙しすぎて、個々の演奏や録音では、(少なくとも私にとって)十分に
満足のいくものが生まれなかったように思います。これからは、年齢を
わきまえて1回1回の録音にじっくりと取り組み、
大輪の花を咲かせて欲しいと思っています。
アルトゥール
2009/10/11 12:23

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