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zoom RSS カルロス・クライバーのベートーヴェン「交響曲第7番」

<<   作成日時 : 2007/06/17 16:42   >>

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一昨日6月15日はmiwaplanさん、garjyuさん、ダンベルドアさんの共同企画「勝手にカルロス・クライバーの日」でした。しかしぼくは、一昨日・昨日とも、自分のブログを開くのがやっとで音楽を聴いている時間はほとんどなかったのです。「エントリーは、1日2日早くても遅くても、大歓迎です。」と書いてあります。そこでぼくは2日遅れで、ウィーン・フィルとのベートーヴェンの交響曲第7番でエントリーすることにしたのです。1975年11月、1976年1月のDGへの録音です。

20世紀を代表する2人の指揮者アルトゥーロ・トスカニーニとヴィルヘルム・フルトヴェングラーが対照的な演奏スタイルを取ったことは有名な事実です。トスカニーニは楽譜に忠実な客観的な演奏、フルトヴェングラーは主観的な演奏です。その結果、トスカニーニからは輝かしく熱気にあふれたアポロン的な演奏、フルトヴェングラーからはじわっと底力の感じられるデモーニッシュな演奏です。ところで「帝王」カラヤンは、フルトヴェングラーが音楽監督を務めていたベルリンフィルを継承するとともに、トスカニーニを深く尊敬していました。彼は若き日に、トスカニーニとフルトヴェングラーの両者を総合し、アウフヘーベン(止揚)する演奏を志していたと言われています。
しかしカヤヤンは徐々に独自に美意識に基づく「カラヤン・サウンド」を築いていくようになりました。その結果、トスカニーニともフルトヴェングラーともまるで異なる演奏が生れたと言わざるをえません。もちろんこれはカラヤンの個性・芸術観の問題であり、これを非難するのは筋違いですが。

ところでこのトスカニーニとフルトヴェングラーの総合・止揚ということにかなりの程度まで成功したのが、実は、カルロス・クライバーなのではないでしょうか。このことは、このベートーヴェンの代表作の1つである第7交響曲にも現れているように思います。この曲は、ワーグナーが「舞踏の権化」と評したように、ダイナミックな生命感にあふれる作品です。カルロスの演奏を聴いているとトスカニーニ的な熱気とリズム感、緊張感にあふれています。この第7交響曲にふさわしい演奏のように思われます。しかし同時に、随所にフルトヴェングラー的な要素も感じられるのです。たとえば、第1楽章での低弦部の響かせ方、第2楽章での休止符の使い方、あるいは全曲での見られる細かなテンポの動かし方です。第7交響曲が本質的にはアポロン的な曲だとしも、単純にそれだけの曲ではないことを実感させてくれる演奏だと思われるのです。カルロスの天才の現れた演奏だと言えるのではないでしょうか。

カルロス・クライバーはもはやこの世にありません。私たちファンは彼の残した録音を楽しむとともに、その少なさを嘆くほかありません。ぼくは、彼の本領は交響曲だけでなくオペラにも現れているように思うのですが、その話はまた機会があればこのブログに書いていきたいと思っています。

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
「勝手にクライバーの日」エントリーありがとうございます。
遅れても大歓迎です。

>カルロスの演奏を聴いているとトスカニーニ的な熱気とリズム感、緊張感にあふれています。この第7交響曲にふさわしい演奏のように思われます。しかし同時に、随所にフルトヴェングラー的な要素も感じられるのです。

なるほど、そうですね。
クライバーの18番のこの曲にあらゆる要素が盛り込まれていますね。

>ぼくは、彼の本領は交響曲だけでなくオペラにも現れているように思うのですが、その話はまた機会があればこのブログに書いていきたいと思っています。

確かにクライバーのオペラの運びは素晴らしいですね。
またよろしくお願い致します。
ダンベルドア
2007/06/19 23:04
 アルトゥールさん、こんにちは。
 先日のフルトヴェングラーの記事とあわせて読むと、アルトゥールさんのそれぞれの指揮者観みたいなものがよくわかり、とても参考になりました。フルトヴェングラーやトスカニーニのベートーヴェンなど、もうずいぶん聴いてませんが、久しぶりに聴いてみたくなりました。
 何か新しい発見があるかもしれません。
 でも、アルトゥールさんもおっしゃってますが、何種類もあって、けっこうちがうので、困ってしまいます。
Nora
2007/06/20 11:57
 続きです。
 わたし自身のことで恐縮ですが、クライバーのベートーヴェンは、実演を聴いたことがあります。
 4番と7番の違いくらいはわかっているつもりだったのですが、
 音楽が始めから終わりまで飛び跳ねていて、何だかまったく区別がつかなかった、という印象しか、ありません。(もったいない・笑)
 その後のウィーン・フィルとの来日の時は、さすがに、その価値の重さがわかっていたので、期待していたのですが、シノーポリに代わってしまいました。
 でも、そのおかげで、思いがけず、ウィーンフィルのブルックナー!を聴くことができて、この頃からブルックナーにのめりこむようになりました。まったく何がきっかけになるかわかりませんね。
 では。長々と、失礼いたしました。
Nora
2007/06/20 12:18
ダンベルドアさん
コメント有難うございます。
私は昔から第7を単にネアカではなく、何か底知れぬ迫力のよ
うなものを感じてきました。クライバーの演奏を聴いていると
そういう気持ちが強まります。
クライバーのオペラは「魔弾」「トリスタン」「こうもり」と
持っているのですが、最近あまり通して聴くチャンスがないん
ですよ。特に「トリスタン」は、せっかく国内盤を買ったのに
まだ一度もぶっ通しで聴いたことがないように記憶しています。
一度ワーグナー・ワールドに浸ってみたいとは前々から思って
いるのですが…。
アルトゥール
2007/06/20 21:12
Noraさん
コメント有難うございます。
私は若い頃は実は、珍しいトスカニーニ派だったんですよ。
それでフルトヴェングラー派(多数派でした)の人から批判
(?)され、「フルトメンクラウ」などとつまらないことを
言っていました。フルトヴェングラーが分かってきたのは最
近のことです。
ただフルトヴェングラーは、仰るように同曲が何種類もあっ
てそれぞれ違うわけですが、同じ録音でもその日の気分で受
ける印象が違ってくるような(笑)。
クライバーの実演をお聴きになったとはうらやましいです。
私は昔から「金がある時は時間がなく、時間のある時(例え
ば学生時代)は金がない」というパターンで、クライバーは
もちろんカラヤンやバーンスタインなど多くの大演奏家を聴
き逃してきました。Noraさんがブルックナーに開眼されたよ
うに、実演で初めて見えてくるものはあると思います。
アルトゥール
2007/06/20 21:23
 アルトゥールさん、またまた、おじゃまします。
 昔は、カラヤンか、バーンスタインか、(ベームか)などもあって、ほんとうにおもしろかったですね。みんな真剣に議論して。
 今では、そんなの、あまり無いのでしょうか。
 バッハや古楽の世界では、オリジナルか、モダンか、はたまたOPVVか、なんて、まだやってますが、まあ、どうでもいい話で。(笑)

 ところで、トスカニーニのベートーヴェンを聴いてみよう、と思ったのですが、これも、ずいぶん種類があるんですね。レーベルもたくさん。すっかり困ってしまいました。
 とりあえずRCAの正規の全集盤から何曲か聴いてみようと思ってます。もし、(もと)トスカニーニの派アルトゥールさんが、これだけは、と思われるような録音があったら、ぜひ、また教えてください。
Nora
2007/06/22 16:05
 ↑おもいっきり打ちまちがえてます。(笑)↑
 もちろん、OVPP、です。
Nora
2007/06/22 16:09
Noraさん、いつもコメントを頂いて有難うございます。
ご質問を頂いて考え込んでしまいました。
トスカニーニのベートーヴェンですが、一見奇数番のイメージが
あると思いますが、私は偶数番も、決して悪くないというか奇数
に匹敵するよう思うんですよ。というわけで、平凡ながら、第1
・2番のカップリングはいかがでしょうか。
録音は複数あり、一般には戦前の録音(私はよく知りませんが)
が良いといわれているようですが、RCAから出ている1950
年代初めの録音は音質がそうとう改善されているので、それで問
題ないと思います。
もっともベートーヴェンに限らずトスカニーニのすべての録音から
でしたら、ヴェルディ「レクイエム」を選びます。これは壮絶とい
っても過言ではないド迫力・緊張感のあるすさまじい演奏です。も
っとも「レクイエム」にふさわしいのかという疑問は残るでしょう
が…。
ところでOVPPとは何でしょうか。私も年のせいか時代の流れに
ついていくことが困難になってきました(苦笑)。
アルトゥール
2007/06/22 18:26
 アルトゥールさん、おはようございます。
 やっかいな質問にごていねいにお答えいただいて、ありがとうございます。
 さっそく参考にさせていただき、聴き進めていきたいと思います。
 ライブなどもあるようなので、できればそれらも聴いてみたいです。

 OVPPは、One Voice Per partの略で、
 合唱等の1パートを1人の奏者が奏する方式です。
(昔、リフキン方式と呼ばれてたものです)
 気取って略語を使ったら、一般的にわかりにくいばかりか、打ち間違ってしまいました。(笑)
 たいへん失礼しました。
Nora
2007/06/23 12:03

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