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zoom RSS ハンガリーSQのシューベルト「弦楽四重奏曲第15番」

<<   作成日時 : 2007/07/17 20:01   >>

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シューベルトの弦楽四重奏曲第15番D887。シューベルトの死の年に完成された、彼の最後の弦楽四重奏曲である。この曲は第14番「死と乙女」はもちろん、第13番「ロザムンデ」よりも知名度は低い。しかし、実はシューベルトの全ての弦楽四重奏曲中の最高傑作であり、ベートーヴェンの後期作品、あるいはショスタコーヴィチの後期作品とともに、器楽曲として最も深いものを宿しているのではないだろうか。

この曲は急―緩―急―急の古典的な4楽章構成を取っている。しかしその内容は、完全に古典的な形式から離れた自由なものになっている。演奏時間は約40分と長い。ちょうどベートーヴェンの後期作品と同じくらいの長さだ。しかし内容は全く晩年のシューベルトならではのものだ。あの交響曲第9番「ザ・グレート」と同様、楽想がいつ果てしれるともわからないくらい湧き出でて、いつまでも尽きない、という感がある。第1楽章、4楽章の両端楽章に特にその感が強い。そしてその内容は、弦楽四重奏曲の枠を全くはみ出て、自由に飛翔している。自由に歌いながらも孤独感に付きまとわれ、あちこちに深淵が見え隠れする。ずっとどこかに暗い影、すなわち「死」の影に付きまとわれている。
ベートーヴェンは晩年の弦楽四重奏曲において独自の玄妙な境地に到達した。シューベルトもまた最晩年に、ベートーヴェンとは異なる、彼なりの深い境地に到達したのである。聴く者としては深い感慨を覚えざるを得ない。

ハンガリーSQ(1968年4月、EMIへの録音)は、音質の悪さが惜しまれるものの、すばらしいものだ。各奏者の演奏技術という点ではもっと上の団体は珍しくないだろう。しかし、ハンガリーの団体らしいアタックを保持しつつもフォルムを崩すことは一切なく、しかも心で受け止めて演奏しているのがよくわかる。作曲家ベラ・バルトークと親交が深かったという第1ヴァイオリンのゾルタン・セーケイの歌い回しはしみじみと心を打つ。至高の名演といっても過言ではないと思う。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは
ハンガリーSQはセーケイの味のある歌いまわしとともに、ベートーヴェンの全集などをLP時代には良く聴いたものです。
CDになってから目にしなくなりましたが、このシリーズで出ていたのですね。
このシューベルトも欲しくなりました。
ダンベルドア
2007/07/30 22:54
ダンベルドアさん、こんばんは。
ハンガリーSQのベートーヴェン全集をLP時代に
お聴きになっていたとは、さすがにお耳が高いですね。
私はハンガリーSQは、CD時代になってから、それ
も7〜8年前から聴くようになりました。彼らのベー
トーヴェン全集は録音は良くないですが、今ではズス
ケSQ(ベルリンSQ)と並ぶ愛聴盤となっています。
このシューベルトも最近復刻された際に入手したので
すが、心に沁みる演奏だと思います。シューベルトの
弦楽四重奏曲の録音では、往年のウィーン・コンツェ
ルトハウスSQと双璧ではないでしょうか。
アルトゥール
2007/07/30 23:35

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