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zoom RSS ブレンデルのリスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」

<<   作成日時 : 2008/01/06 19:36   >>

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今日、インターネットを見ていた時、ショッキングなニュースを目にしました。ピアノの巨匠、アルフレッド・ブレンデルが今年度、2008年度を最後に引退するというのです。昨年11月21日、ロイター通信の配信によるものですから、間違いありません。70年代にクラシックを聴き始めた頃からブレンデルをずっと応援してきたぼくにとっては、大きなショックです。

上記配信によるとブレンデルは引退ツアーのようなものは行わず、今年度の年間スケジュールを終えた段階で引退するそうです。したがって今年の来日予定のない日本では、もう聴くことができないことになります。
ぼくが最も最近にブレンデルの実演を聴いたのは、1999年の秋でした。その後、2001年にも来日したようですが、それ以降の来日は途絶えていました。とはいえ、彼は1931年生まれですから今年で77歳で、ピアニストとしては引退するには早すぎる年齢のように思われます。今回の引退報道には本当にびっくりしました。

さてブレンデルの演奏活動を振り返ってみると、演奏スタイルのような主観に左右されやすい側面はさておき、客観面をみると非常に特徴の大きいピアニストだったことに気づきます。その特徴とは、大きく分けて
@レパートリーが、彼ほどの巨匠には珍しいほど非常に限定されている。
Aその限定されたレパートリーの中の曲を何回も取り上げた。
ということではないでしょうか。

@ですが、ブレンデルが「ピアニストにはショパンを弾くピアニストとそうでないピアニストの2種類があり、自分は後者に属する。」と語ったという有名な話があります。そして実際には、ショパンだけでなく、ドビュッシーやラヴェルなどフランス物、チャイコフスキー、ラフマニノフなどロシア物は一切手掛けず、ドイツ・オーストリア系一辺倒だったのです。ドイツ・オーストリア系以外で彼が手掛けたのはリストくらいだったのです。
しかもそのドイツ・オーストリア系なら何でもやったかといえばそうではなく、ウェーバーやメンデルスゾーンのように一切手掛けなかった作曲家もあり、それ以外も、たとえば(意外なことに)ブラームスは協奏曲以外は聴いたことがありません。また20世紀の音楽はシェーンベルクのピアノ協奏曲が目を引く程度で、あまり彼の関心を引かなかったようです。
さらに残念なのは、これも意外なことに、21世紀になって録音するようになってきたモーツァルトのピアノ・ソナタ全集がまだ半分くらいしか進行していないことで、まだ録音されていないとすれば未完のまま終わることになります。彼は実演ではモーツァルトをよく取り上げていたので、これは本当で意外であり、残念なことです。
それ以外にも、室内楽の録音が極めて少ない等、レパートリー面では非常に特徴の大きいポピアニストだったと思います。

次にAですが、特定の曲を何回も録音するというのはブレンデルの大きな特徴です。その代表がベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集で、3回も録音したのは古今を通じて彼だけのはずです(バックハウス、ケンプ、バレンボイム等はいずれも2回)。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は4回ではないでしょうか。リストのピアノ・ソナタも3回です。

だんだん長くなってきたので、この辺で今日聴いた録音のことを書きます。今日聴いたのは、1981年の6月に録音された彼の2回目のリストの「ピアノ・ソナタ ロ短調」です。
画像


聴く者に対するインプレッションが非常に大きく、下手すればピアニストの技巧を誇示するためのように演奏されがちなこの曲を、じっくり構えて知性的・思索的に演奏しているのはさすがという感がします。
私見ですが、この曲は90年前後から急に録音が増えたのではないでしょうか。80年以前は、ホロヴィッツの得意曲とされていたもののそれ以外の録音は少なく、アルゲリッチの1971年の録音が目を引くくらいだったと思います。また実演でもそれほど取り上げられように思います。ブレンデルのこの81年録音は、録音が増加したその先駆と言うべき存在で、決して技巧一本槍の曲でないことを証明した名演ではないでしょうか。
なお「2つの伝説」「悲しみのゴンドラ第1、2番」というリスト晩年の名作がカップリングされています。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
ブレンデル引退ですか・・・・残念ですね。
僕がクラシック音楽を聴き始めた1980年頃、ブレンデルはフィリップスの看板ピアニストでした。新録音もどんどん出てきましたし、それが殆ど高レベルの演奏で感動的でした。
ベートーヴェンのソナタ全集、シューベルトのソナタ等ピアノ曲集は特に印象に残ります。そして、リストのロ短調ソナタ。
愛着のあるピアニストです。LP時代から、世話になったなぁと思います。
ホンマに引退ですか。ああ、時代は過ぎました。とても感慨深いです。
mozart1889
URL
2008/01/07 09:46
アルトゥールさん、こんばんは。
ブレンデルの引退の話は今、初めて知りました。ブレンデルといえば、うぐいすはベートーヴェンのピアノソナタとピアノ協奏曲が印象に残っています。華麗に技巧をひけらかすのではなく、知的で堅実に弾いていくスタイルが好ましいですね。あと妙に(笑)記憶に残っているのが、テレビでたまたま見た、ライブのムソルグスキーの「展覧会の絵」と、F=ディースカウの伴奏をつとめた「冬の旅」です。

ところで話は変わるのですが、うぐいすのブログにリンク画面を作ってみました。そこで、アルトゥールさんのブログをリンクさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?お返事期待しています(笑)ので、よろしくお願いいたします。
うぐいす
2008/01/07 19:40
mozart1889さん
コメント有難うございます。
私がクラシックを聴き始めたのは70年代後半で、
その時すでに父がブレンデルの2回目のベートーヴェン
全集や1回目のシューベルトのピアノ・ソナタを所有し
ていたため、mozart1889さんと同様、ブレンデルには昔
からたいへんお世話になってきました。私も、感慨深い
です。
1980年頃はブレンデルはPhilipsの看板ピアニストでした
ね。バックハウス、ケンプの系譜を引く独墺系の正統派
ピアニストだと考えられていたと思います。
現在はブレンデルのように独墺系をレパートリーの中心
に据えてじっくりと演奏活動に取り組むというタイプが
少なくなってきているように思うんですよ。オピッツ、
レーゼルくらいでしょうか。しかし彼らも、もうベテラ
ンなわけですし…。
とても寂しいニュースです。
アルトゥール
2008/01/07 20:37
うぐいすさん
コメント有難うございます。
ブレンデルはやっぱりベートーヴェンが一番でしょうね。
仰るとおり基本的には知性が勝ったピアニストだと思い
ますが、レヴァインとの協奏曲などライヴでは感興に乗っ
て弾いている場面もあり、意外感を抱くこともあります。
ブレンデルの「展覧会の絵」は私も持っていますが、曲
が嫌いなので(笑)めったに聴きません。F=ディスカウ
との共演は「冬の旅」ではなく「白鳥の歌」と歌曲集を持
っていますが味わい深い演奏だと思います。

リンク大歓迎です。実は私も作ろう作ろうと思って今まで
来ました(笑)。
アルトゥール
2008/01/07 20:46
一昨日、在住のオックスフォードでブレンデルのリサイタルに行ってきました。ハイドン、モーツアルト、ベートーベンそしてシューベルトのソナタというキラ星の如くのプラグラムでしたが、その一つ一つが配賦を抉られるような美しさでした。演奏姿を見るのがこれで最後かと思うと辛くてステージを見られないくらいでしたが、前の席のドイツ人の親子が、シューベルトのD960の折りには肩を震わせて泣いているのがいるのが印象的でした。しかし、アンコールに、バッハが登場したときには、会場中が文字通り水を打った静けさになり、演奏後にも一瞬どころか殆ど非常識なくらいの間が空いて、その静寂の後に嵐のようなため息と拍手が沸き起こりました。会場のすべての聴衆の、なぜ引退するのか?という、思い切りの悪い問いがいつまでもいつまでも木霊する夜でした。。。
コジマ
2008/02/15 08:32

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