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zoom RSS デュトワのドビュッシー「夜想曲」

<<   作成日時 : 2008/06/17 22:17   >>

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昨日に続き、シャルル・デュトワ指揮モントリオール響のフランス印象派を聴きました。今日はドビュッシー「夜想曲」です。この曲は3曲目の「シレーヌ」に女声合唱が入るのですが、モントリオール女声合唱団が参加しています。1988年10月のDECCAへの録音です。

この曲は「夜想曲」と名づけられていますが、ショパンのようなロマンティックな作品ではありません。国内盤ライナーノート(故・志鳥栄八郎先生)からそのまま引用すると、「…ドビュッシーはここで、ピアノ音楽によく見られる『夜想曲』という形式を題名に用いてはいるものの、彼の意図したものは、ショパンの夜想曲のような、夢想的な音楽を書くことではなく、雲や祭りなどから得た模糊とした印象を、音楽によって表現しようとしたもの…。」なのです。

この夜想曲は「雲」「祭り」「シレーヌ」の3曲から成ります。
第1曲「雲」は、作曲者が大空に浮かぶ雲の移ろいから得られた印象です。雲はある時は分厚く、そして段々薄くなっていき、移ろいきます。
第2曲「祭り」は行進曲風の旋律が印象的な活発な作品です。とはいっても昨日聴いたラヴェル「スペイン狂詩曲」の第4曲ほど活力に溢れているわけではなく、色彩感もありません。「スペイン狂詩曲」の祭りが太陽と情熱の国スペインのお祭りであるのに対し、ドビュッシー「夜想曲」の祭りはフランスのお祭りなのです。
第3曲「シレーヌ」の題名は、海に住むニンフ、海の精を意味します。またライナーノートから引用しますと、「きれいな声で歌を歌っては、そのあたりを航海する船人たちを誘惑し、彼らを海底に引きずり込んだという、伝説上の魔女」です。上記の女声合唱が入りますが、歌詞を歌うわけではありません。その結果、神秘的で魅惑的で、しかも非常に洗練された音楽が形成されます。まさに天才的な発想だと思います。この第3曲は「夜想曲」の中の白眉でしょう。

この「夜想曲」は、「海」と並ぶドビュッシーのオーケストラ作品の傑作だと思います。

昨日のラヴェルと今日のドビュッシーを比べてみると、同じフランス印象派でも随分作風が違うのがわかります。ラヴェルに比べてドビュッシーは淡白です。ラヴェルが油彩画だとしたら、ドビュッシーは水彩画です。ラヴェルがともすれば俗悪さと一歩隣り合わせという面があるのに対し、ドビュッシーは決して上品さを失うことがありません。
このように書くと、ラヴェルよりもドビュッシーの方が上のように読めますが、そして実際ぼくはドビュッシーの方が好きなのですが、ラヴェルにも「ダフニスとクロエ」のようなドビュッシーに近い作品もあり、作品にもよるのではないでしょうか。

デュトワ指揮モントリオール響の演奏は、優秀な録音を得て、柔らかく繊細で精緻な演奏で、「夜想曲」の演奏として理想とも言えるものです。昨日のラヴェルでは洗練されすぎているのではないかと書きましたが、ドビュッシーのこの作品には、そのたいへん洗練されたスタイルがよくマッチしていると思います。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
アルトゥールさま お早うございます

ドビュッシーとラヴェルとの違い、なるほどな〜と読ませていただきました。
デュトワ・モントリオールの演奏は聴いたことがありません。
ドビュッシーは、トスカニーニ・NBCの演奏、オーマンディ・フィラデルフィアの演奏を聴いています。
曲としては、ラヴェルの方が圧倒的に難しいところが多いのですが、この「夜想曲」の2曲目は、ものすごく難しいです。和音の響きなどは、ドビュッシーの方が美しいように思いますね〜。「海」の最初の和音など、うっとりするほど美しいものですよね〜。

ミ(`w´)彡 
rudolf2006
URL
2008/06/18 08:44
こんばんは。ドビュッシーの夜想曲、自分はロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニーの演奏を良く聴きます。第2曲の「祭」は特に印象的ですね。祭だから歌も踊りも華やかな行列もあるのですが、その行列が通り過ぎて祭が終わった後の寂しさ、わびしさみたいなものを見事に音で描き出している点で極めて特異な作品だと思います。低音弦楽器の刻むリズムの中に、サスペンディッド・シンバルの微かな響きが消えていく…。他の「祭」と名の付く作品とは全く違う視点から祭を表現していると思います。
AS
2008/06/18 19:18
rudolf2006さま
コメントを頂き有難うございます。
デュトワ/モントリオールのフランス印象派の演奏は
私は好きでいますが、ゼルキン師、マエストロ・トス
カニーニをお好みのrudolf2006さまの趣味に合わない
かもしれないですね。私もドビュッシー、ラヴェル以
外では物足りなく感じることもあります。
トスカニーニのドビュッシーは私は聞いたことがあり
ませんが、どんな演奏なのでしょうか? 想像がつかな
いですね。
自分は演奏の方は、ピアノを少しかじったくらいでオー
ケストラの経験はないのですが、ラヴェルはやっぱり難
しいですか。聴く喜びと演奏する喜び、違うようで似て
いるのではないか、と想像しています。
アルトゥール
2008/06/18 21:08

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