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この週末に吉田修一『パレード』(幻冬舎文庫)という本を読み終えた。吉田修一という人は、1968年長崎県生まれ、2002年に芥川賞を受賞したそうだが、ぼくは昨年まで全く読んだことがなく、今年になって初めて『東京湾景』(新潮文庫)という小説を読んだ。『パレード』は『東京湾景』に続く2冊目である。 『パレード』は、東京の世田谷区千歳烏山のマンションに同居している4人の男女が中心になっている。杉本良介(21歳、H大学経済学部3年)、大垣内琴美(23歳、無職)、相馬未来(24歳、イタストレーター兼雑貨屋店長)、伊原直輝(28歳、インディペンデントの映画配給会社勤務)の4人である。彼らは、男部屋と女部屋に分かれて寝起きし、テレビや冷蔵庫を共有し、よく食事をともにしたり、一緒にDVDを借りて見たりしている。 この4人を中心にした日常が、4人の視点から描かれるという形式で物語は進展していく。 大垣内琴美は、4人の関係について、次のように思いをめぐらせる。 「インターネットなんかをやっている短大時代の友人たちの話を聞くと、『チャット』だとか『BBS』なんてものが、もしかすると、ここでの私たちの生活に少し似ているんじゃないかと思う。…そこは善意のみが入場可能な、出入り自由の空間なのだ。たぶん私たちが暮らしているこの部屋も、そんな場所なのだと思う。嫌なら出ていくしかない。いるなら笑っているしかない。もちろん人間なのだから、誰だって善意も悪意も持ち合わせている。たぶん未来にせよ、直輝くんや良介くんにしろ、ここでは善人の演技をしているのだと思う。まさにこれを『上辺(うわべ)だけの付き合い』と呼ぶのかもしれない。でも、私にはこれくらいが丁度いい。…」 しかし善人の演技、上辺だけに付き合いということは、4人ともその裏面に何かを有していることである。実際、物語は、18歳、自称「夜のお仕事」に勤務中の小窪サトルが登場するあたりから、加速度的に急展開していき、4人の裏面が露呈されていく。それは人生の、あるいは日常世界の裏の側面というべきものだ。 本書はたいへん読みやすく、ぼく自身はあっという間に読み終えることができた。『東京湾景』もそうだったけれど、吉田修一という人は、現代の社会風俗を小説の設定に取り入れるのが上手い。単なる日常物語だけでなく(もっとも一般論として、ただの日常物語が小説として劣るわけはないが)、その裏の側面をユニークに物語に取り込もうとする。シリアスな物語としても読めるし、エンターテインメントとしても読める。 ぼくにとっては、今後注目していきたい作家だ。 |
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こんばんは。 |
fumika 2008/08/28 00:54 |
fumikaさん、おはようございます。 |
アルトゥール 2008/08/28 07:22 |
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