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zoom RSS ムター/マズアのベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」

<<   作成日時 : 2009/07/20 18:10   >>

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過日本ブログに、ミシェル・オークレールのメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」の記事を書いた際、ヴァイオリン協奏曲の女王というべきメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は本来女流ヴァイオリニストのソロによる演奏がイメージ的にぴったりするのに、自分は女流をソリストにした録音はオークレール盤しか持っていない旨を書きました。
ところがヴァイオリン協奏曲の王様というべきベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の方は、これまで8種類の録音を持っていたのに、その中に女流ヴァイオリニストがソリストを務めた演奏は1枚もなかったのです。

そこで数日前、今やヴァイオリンの「女王」の名をほしいままにしているアンネ=ゾフィー・ムターの演奏を買い求めてみました。ムターのベートーヴェンは、まだ16歳だった1979年に帝王カラヤンと競演した初回録音もありますが、今回購入したのはそれから23年の歳月を経て2002年に再録音したクルト・マズア指揮ニューヨーク・フィルハーモニックとの競演盤です。

1970年代末のムターの鮮烈なデビューについてはよく覚えています。自分より年少の天才少女が現れ、天下のカラヤン指揮ベルリン・フィルと共演したということが大きな驚きでした。さっそく何枚かLPを買ってみたものです。

しかしぼくのヴァイオリニストの趣味は、今に至るまで、D・オイストラフをはじめ、ミルシテイン、コーガン、スークといった昔またはベテランの演奏家が多く、ムターは全面的に共鳴できませんでした。また80年代は、自分の中でムターと共演している帝王カラヤンに対する反発があったことは事実です(今はカラヤンに対する反発はなくなり、ぼくにとってカラヤンはむしろ好きな指揮者です)。
そしてカラヤンが亡くなった後の90年代以降は、ムターについて、自由奔放に演奏しすぎフォルムを崩しているというような良くない評判を聴くことが多く、プレヴィンと共演したシベリウスくらいしか聴かないでいたのです。

さて、今回のマズアと共演したベートーヴェンですが、まずムターの美麗で豊かな音色に魅せられます。評判どおりヴィブラートを多用した、振幅の多い、その意味では「濃い」演奏です。
ただぼくが変なのかもしれませんが、情念のような「濃さ」が感じられる演奏ではなく、あくまでも純粋な音楽としての「美」を追及した演奏なのではないでしょうか。
第2楽章はその典型だと思います。この楽章は思い切り感情をこめて演奏することも可能なはずですが、ムターは丁寧に、ひたすら美しく、旋律を奏でていきます。また第1、3楽章も、ひたすらムターの美麗な音色を堪能させられる演奏です。

こういったムターの演奏は、ここ20年くらい流行の古楽器演奏とは一線を画す、というか、それに見向きもしないものですが、そういった姿勢は今となってはかえって好ましく感じられます。
ベートーヴェンの演奏スタイルとしてこれが一番かというと、それは聴き手の好みの問題ですが、このムターの演奏はぼくが想像していたよりもずっと好い印象を受けました。

また共演しているマズアですが、ぼくはマズアについておよそ良い評判を聞いたことがありません。この録音でも、もっと堂々とした力強い演奏はできると思います。しかし、ここではムターの引き立て役に徹しているのではないでしょうか。数年前購入したアンネローゼ・シュミットとのモーツァルトのピアノ協奏曲全集でも感じたのですが、ソリストの個性を生かそうとするマズアの協奏曲指揮者としての腕前は、決して悪くないのではないでしょうか。

ともかくムターを再評価させられる1枚でした。


追記 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲については、過去にコーガン/シルヴェストリ盤の記事を書いたことがありました。古い記事ですが、慣例どおり自己TBします。




ヴィヴァルディ:協奏曲「四季」
ユニバーサル ミュージック クラシック
ムター(アンネ=ゾフィー)

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コーガンのベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」
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2009/07/21 09:15

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
このあいだ、NHKの芸術劇場で、
ムター、マズア、ゲヴァントハウスで
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を
放送しました。
この録画が、私の宝になるのかな、と思ってます。

はじめまして、これからよろしくお願いします。
四季歩
URL
2009/07/25 02:11
四季歩さん、はじまして。
コメントを頂き、有り難うございます。
NHKの芸術劇場、私も新聞で目にしました。
自分は、ニュース番組とスポーツ以外はTVを見ない生活を送って
いるので録画はしませんでしたが、ムターの艶やかな演奏姿は90年
代に見たことがあります。今でも同様だろうと思います。
ムター、マズア、ゲヴァントハウスのメン・コンのCDも最近出ま
したね。いつか入手しようと思っています。
アルトゥール
2009/07/25 14:44

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