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zoom RSS ホン・ミンビョほか『人工知能は碁盤の夢を見るか?アルファ碁VS李世ドル』(東京創元社)

<<   作成日時 : 2016/11/05 18:07   >>

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ホン・ミンビョ、キム・ジノ著、洪敏和訳『人工知能は碁盤の夢を見るか?アルファ碁VS李世ドル』(東京創元社)という本を読み終えた。

今年3月、世界の囲碁界に大きな衝撃を与える出来事が起きた。
グーグル・ディープ・マインドの開発した人工知能囲碁プログラム「アルファ碁」が韓国のイ・セドル九段を破ったのである。

囲碁は、将棋やチェスよりも複雑なゲームのため、これまではコンピュータ・プログラムが囲碁の世界で人間に追いつくことは困難だと思われていた。不可能だと考えられていた時期もある。

一方、イ・セドル九段といえば並のプロではない。10年以上世界の囲碁界のトップに君臨する棋士であり、韓国では英雄視されている存在である。現在でも、囲碁の世界棋士レーティング5位前後である。
ちなみに日本で最強の井山裕太棋聖は、世界では20位前後で、イ九段とは今年初めに対局し完敗している。

このような事情から、今年3月に行われた、アルファ碁とイ・セドル九段の五番勝負は、戦前は圧倒的にイ九段有利という下馬評だった。ところが、予想を覆して、アルファ碁が4勝1敗で、イ九段を破ったのである。
この出来事は、韓国はもちろん、日本でもマスコミで大きく取り上げられた。

本書は、後世からは囲碁2000年の歴史を変えた歴史的な対決と言われることになるであろう、アルファ碁とイ九段の対決を、1局ごとに解説を加えながら振り返るものである。

各棋譜の解説の当たるのは、韓国のホン・ミョンボ九段。イ九段とは1歳違いで、非常に親しい関係のようだ。アルファ碁との5番勝負の最中、テレビ解説を担当し、各対局の後、イ九段と共に対局の経過について何時間も検討したらしい。
ホン九段の解説は詳しいだけでなく、アマチュアにも分かりやすいように親切になされている。参考図が、1局当たり20〜30図も載せられているという丁寧さだ。
それだけでなくイ九段の感想・反省が数多く解説の文中で紹介されており、当事者の生の声を聞くことができるのが、たいへん有り難い。ホン九段がイ九段と親しい間柄だったからこそ可能になったことである。

本書では、棋譜の解説だけでなく、アルファ碁との対局後のイ九段の様子(イ九段の人間的な側面がわかる)や、人工知能と人間の対局についてのホン九段の考察も述べられており、単に打碁解説本に止まらない内容になっている。

それだけでなく、冒頭にソウル科学総合大学院教授であるキム・ジノ氏によるアルファ碁のメカニズムの解説が載せられている。キム氏は、五番勝負の始まる前、ただ一人アルファ碁有利を予言したという。キム氏の解説は、アルファ碁の強さ、画期的なメカニズムを理解するのに好適である。

洪敏和氏による日本語訳もすぐれている。
本書は、囲碁2000年の歴史を変えた今回の世紀の対決を振り返るための非常にすぐれた棋書である。

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