リンゼイSQのベートーヴェン「弦楽四重奏曲第12・13番」

この間の日曜日にモルゴーア・クワァルテットの演奏会に行って、やっぱり弦楽四重奏はいいなあ、と実感した。そこでベートーヴェンの弦楽四重奏曲の第12番と第13番を聴いてみることにした。演奏はリンゼイSQ。演奏年月はライナーノートに書かれていないが、1980年代前半だと思われる。

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まず第12番だが、ぼくは、この曲のように、ベートーヴェンの後期に入ったばかりの曲や、中期と後期のちょうど狭間に書かれた曲が大好きだ。ピアノ・ソナタだと第27番、28番、弦楽四重奏曲だと第10番「ハープ」や第12番である。
この第12番は、4楽章編成で各楽章は急―緩―急―急の順という伝統的な様式が保たれている。この曲では、緩に当たる第2楽章の変奏曲が特にすばらしい。神がかり的といってもよいくらい絶妙だ。

次の第13番は6楽章編成で、すでに伝統的な形式は完全に破られている。第1楽章は開始部分でただならぬ気配が漂う。そして一転して転調の妙。第2・3楽章が急―緩ときて次の第4楽章は優美だ。そして次の第5楽章が有名な「カヴァティーナ」。ベートーヴェン自身が自分の作品の中で最も感動的なものと語ったと伝えられる。来し方をしみじみと回顧するような風情があり、崇高な表情をたたえている。そして終楽章が一転して大フーガ。これは巨大で前衛的で、未来を見据えている。まるで現代音楽のようだ。ぼくはこの第13番の終楽章はぜったい大フーガを演奏すべきであり、カヴァティーナと大フーガが連続して対比的に演奏されることにより曲のもつ前衛性が明らかになると思う。
ぼくは最近、この第13番がベートーヴェンの弦楽四重奏曲の最高傑作ではないだろうか、と思うようになった。短くはないが長くもない。重さと軽さが同居している。過去を振り返るとともに未来に向かって開かれている。

リンゼイSQの演奏は非常に表現意欲の強い、個性的なものだ。どの楽章も演奏時間は長いが、緊張が高いので遅いと感じさせない。すばらしい演奏だと思う。ぼくはこの団体の来日公演を2回聴きに行ったことがある。だが、最近解散したようだ。なぜか日本では人気が出なかったが、個性的な演奏をする良い弦楽四重奏団だったと思う。解散はたいへん残念だ。

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