コーガンのEMIへの録音集

7月の末に買ったレオニード・コーガンの仏EMIへの録音集4枚組みを先週までにだいたい聴き終わった。聴き終わるまでに1ヶ月以上もかかってしまった(もっとも曲によっては2回以上聴いたものもある)が、コーガンの好きなぼくにとってまことに貴重なCDとなりそうだ。

まず収録曲目は、収録順に、バッハの2台のヴァイオリンのための協奏曲・ヴァイオリン協奏曲第1番、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲作品12の3、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1・2番、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、ラロのスペイン協奏曲、ベートーヴェンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の合計11曲。協奏曲のオーケストラは、バッハを除きパリ音楽院管弦楽団で、指揮はシャルル・ブリュックとアンドレ・ヴァンデルノートが半々といったところだ。
同じ仏EMIへのダヴィド・オイストラフの同時期(1950年代)の録音集と比べると、コーガンのはヴィヴァルディを除き、超有名曲ばかりで、大半が協奏曲だというのが特徴だ(オイストラフのは協奏曲とソナタがほぼ半々だった)。

さて内容だが、まずコーガンのヴァイリオンの音がぼくの好みだ。現代の多くの有名ヴァイオリニストのような美麗な音でない。かといって木目の肌触りといった風情でもない。だがぼくは、コーガンのような一見平凡でくすんだような音が好きだ。このような音の方が、聴けば聴くほど飽きがこないし味わいも出てくると思う。
演奏だが、これがものすごく主観的で濃い。コーガンというと、機械的で冷たいというイメージを持っている人が多いが、この演奏はその正反対だ。ヴィブラートと大きくかけたり、テンポを頻繁に変えたり、やりたい放題にバリバリと弾いているのだ。大昔の名人趣味というものなのかもしれない。バリバリ弾く中で、音の抜け音程の乱れ等がほとんどないのは、やはりすごい技術だと思う。前にブログでオイストラフの演奏について、ヴァイオリン演奏とはこうでなければならないという確信が感じられると書いたが、コーガンはちょっと違うような気がする。コーガンには「オレの弾き方はこうだ」という自信というか、変な言葉だが闘志のようなものが感じられるのだ。録音当時コーガンは30代前半とまだ若かったことが関係しているのかもしれない。

ぼくはバッハ、ベートーヴェン、チャイコフスキーの協奏曲については、コーガンの同曲異演を持っている。特にベートーヴェンとチャイコフスキーは、同じEMIへの録音だ(指揮は両曲ともコンスタンティン・シルヴェストリで、録音はとも59年と少し遅い)。シルヴェストリとの共演の方がずっとコーガンの演奏が抑制されていて、一般的だと思う。シルヴェストリとのベートーヴェンとチャイコフスキーは録音のあまたある中で、ナンバーワンに挙げられてもおかしくない名演だ。だがコーガンの個性を楽しむのなら、こっちだ。ぼくは今後、独自なコーガン節を楽しみたいと思ったら、真っ先にこの4枚組みを取り出すだろう。

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