ユボーのフォーレ「舟歌」

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フォーレというとあの「レクイエム」がダントツで有名だが、室内楽、ピアノ曲、そして歌曲の分野にも名作を残していると思う。今日聴いてみたのは「舟歌」全13曲で、演奏はジャン・ユボー、1988年10月から1989年4月にかけての録音である。

「舟歌」で最も有名なのはショパン(と八代亜紀さん)だろう。他にメンデルスゾーンの「無言歌」の中にも何曲かの「舟歌」が含まれている。フォーレは合計で13曲の「舟歌」を作曲しており、作品番号は一番最初が26で一番最後が116だから、生涯のいろいろな時期に「舟歌」を作曲していったことになる。
ところでフォーレのピアノ曲は、同じフランスのドビュッシーやラヴェルと比べると、知名度や演奏される機会はずっと少ない。それは例えばドビュッシー「前奏曲集」やラヴェル「夜のガスパール」のようなインパクトの強い作品が少ないせいではないだろうか。しかしフォーレも、ドビュッシーやラヴェルほどの派手さはないにせよ、彼らしい詩情があふれ、洗練された小品を数多く作曲している。この「舟歌」もそのような作品群である。

フォーレの「舟歌」には、ショパンの「舟歌」のような美しい旋律とインスピレーションは存在しない。その代わりに内省的な深さを持っている。13曲の中にはスケールを感じさせる作品もあれば、可憐な小品も混じっている。どの曲もショパンと比べるとずっと地味ながら、フォーレらしい抑制された詩情を持つと共に内面の深さを感じさせる。独特の味わいに富むものだ。今日のような梅雨の蒸し暑い日に、一人でエアコンの効いた部屋にこもって耳を傾けるのにふわわしい曲だと思う。

ユボーの演奏はフォーレの大家らしい説得力を持つもので、客観的な立場からフォーレ作品の魅力を伝えてくれるものだ。主観に流れない点が良い。文句の付けようのない名演だと思う。

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