トルストイ(望月哲男訳)『イワン・イリイチの死』(光文社)

今日で3連休が終わります。この連休中に本を何冊か読みました。ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』の新訳が大きな反響を呼んでいる光文社古典新訳文庫に収められているトルストイの『イワン・イリイチの死』(望月哲男訳)もその1つです。
この『イワン・イリイチの死』は全部で130頁強の中編です。そこで同じトルストイの中編『クロイツェル・ソナタ』が同じ本の中に併録されていますが、『クロイツェル・ソナタ』の方は連休中に読み終わることができませんでした。

ぼくは『イワン・イリイチの死』を大学に入ったばかりの頃に読んだように記憶しています。米川正夫氏の訳だったと思います。しかし当時からは25年以上が経過しており、今回読んでみて初めて読む小説のように感じました。

物語は、45歳の判事イワン・イリイチが迎える死をテーマにしています。イワン・イリイチはごく普通の真面目な判事で、妻と娘・息子の3人の家族がいます。しかしある時から不治の病気に犯されます。病からくる痛み、肉体苦が彼を苦しめます。そして、それ以上に彼を苦しめるのが精神苦です。なぜ自分だけが死ななければならないのか。
さらに彼の妻も娘も、表面上は彼の病気を哀れんでいるものの、それは決して本心からではありません。彼の友人たちも、決して本心では彼を哀れんではいません。彼の妻も娘も友人も、彼が死んだら面倒が1つ減ったくらいにしか考えていないのです。

この小説は、このような極限状態に陥ったイワン・イリイチの心理を描くものです。短い中に、生と死という究極のテーマにずばり切り込んだ永遠の古典だと思います。
望月哲男氏の訳は非常に読みやすく、ぼくはすらすらと読むことができました。

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この記事へのコメント

たけ
2008年02月11日 21:46
わたしも最近読みまして、感動したというか衝撃を受けました。
印象深いのはやはり、主人公が自分の非(出世しか念頭においてこなかったこと、周囲にとって荷厄介になってることなど)を認めたとき光明が見えてきたみたいなくだりです。
2008年02月12日 20:54
たけさん
はじめまして。
コメントを頂き有難うございます。

私も、イワン・イリイチが、自分が間違った人生を送ってきた
のではないかと考え始めてから、彼の内面が変わり始めたこと
は印象に残りました。ただそのことによって、彼が幸福な最期
を迎えることができたのかは微妙だと思いますが…。

イワン・イリイチは信仰心は一切持っていない人物ですよね。
人間は宗教を離れて生きることができるのか、そのような問題
も作者は提起しているのではないかと思いました。

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