大前研一『大前流 心理経済学』(講談社)

大前研一『大前流 心理経済学』(講談社)という本を今日までで読み終わった。本書は2007年11月8日の刊で、「貯めるな 使え!」というサブタイトルが付されている。

ぼくが初めて大前さんの本を読んだのは、就職した後の80年代後半だった。たしか『新・国富論』という本だったと思う。それ以来、『平成維新』『ボーダーレス・ワールド』などいろいろと大前さんの本を読んできた。最近では『新・資本論』(東洋経済新報社)、『日本の真実』(小学館)を読んでいる。
ただし大前さんは著書は、周知のように膨大な数に上っている。おそらく100冊を超えるのではないだろうか。ぼくが読んだのはその中のほんの一部にすぎない。ぼくは大前さんの考え方は読んでいて面白いし納得できる点も多々あるが、大ファンというわけではない。

さて本書『大前流 心理経済学』で述べられている大前さんのメッセージは明快だ。これまで政府がとってきた超低金利政策・量的緩和にもかかわらず、日本の景気は好転しない。それどころか日本財政は破綻したも同然の危機に陥っている。ところが日本人は合計1,500兆円という世界でも例を見ない額の金融資産を持ちながら、漠然とした不安感からそれを使おうとしない。そこで政府が、個人の不安心理を解消するような経済政策を打ち出し、個人、特に多額の金融資産を所有しているシニアが安心してお金を使うように仕向ければ、経済全体も良くなるというものだ。

そして具体的な政策として、金利の引き上げ、相続税・贈与税制の改善から、シニアのためのコミュニティづくりなど雄大なものまでさまざまな提言がなされる。京浜運河の再開発などは読んでいて楽しいし、たいへん具体的だ。世界で最も優秀なファンド・マネージャーを探してきて、年金運用のリターンを最大限に高めたらどうか、といった楽しいアイデアも提出される。

本書で述べられた大前さんの提言については、実現困難なものもあるだろう。しかし目先の技術的な問題に捕われて大局を見失ってはいけない。本書を読んでいて感じたのは、昔から変わらない大前さんの思考のスケールの大きさと、発想の豊かさ・柔軟さである。
そして、いつものことながら、大前さんの本を読むと元気が出てくる。仕事にせよ勉強にせよ、やる気が起きるのだ。本当にスケールの大きな、型破りの人である。

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この記事へのコメント

my
2008年02月17日 16:43
 アルトゥールさん、こんにちは。大前研一さんの著書は私が40才半ば頃から本屋さんに並ぶようになり、いつか読もうと思っていたのですが機会を逸してしまいました。大前さんは確か外資系の会社だったですね。 < トップ・レフト > に出てくる、インベストメント・バンカーのようなお仕事をしていたんでしょうか。竹村健一さんは外資系の会社を経て、大学の教壇に立たれたのですが。これから大前さんの本でも読み、私も少し元気をつけましょうか。とはいってもこの老化した頭では・・・
 どうも失礼致しました。
2008年02月18日 18:57
myさん、コメントを有難うございます。
大前さんはインベストメント・バンカーではなく、
経営コンサルタントです。1995年まで、世界最大の
経営コンサルタント会社マッキンゼーの日本支社長を務
めていました。現在は自ら事業を営んだり、起業家の養
成に携わったりしていると聞きます。
経営コンサルタントという職業の性質上、よく分からな
いのですが、大前さんのコンサルティングを受けて業績
が急拡大した会社も多々あると聞きます。またマレーシ
アやアイルランド(?)等、国家経営のコンサルティン
グも手がけたようなことも仄聞します。
大前さんの本はたいへん読みやすいですよ。「トップ・
レフト」よりやさしいのではないでしょうか(笑)。

ところで桐野夏生さんの「OUT」、私も好きです。主
人公の雅子がかっこよかったですよね。桐野さんの創造
した人物の中では雅子と「柔らかな頬」のカスミが、私
にとっては双璧です。

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