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zoom RSS 劇団ひとり『陰日向に咲く』(幻冬舎文庫)

<<   作成日時 : 2008/08/14 20:40   >>

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劇団ひとり『陰日向に咲く』(幻冬舎文庫)という小説を読み終えた。「劇団ひとり」という人は、ふだんテレビのバラエティー番組を見ないぼくでさえ、名前と顔が一致し、キャラクターも知っているというほど人気のお笑い芸人だ。本書『陰日向に咲く』はミリオンセラーになったらしい。

本書は、『道草』『拝啓、僕のアイドル様』『ピンボケな私』『Qverran』『鳴き砂を歩く犬』の5作からなる短編集である。それぞれホームレスに憧れるサラリーマン、売れないアイドルに一途に恋をする青年、女性のフリーター、ギャンブルから逃れられない多重債務者、売れない芸人コンビが主人公になっている。5作とも独立した短編だが、それぞれの間に小さな、さりげない接点がある。いずれも小気味よくストーリーが展開し、最後にオチがついていて、楽しめる小説になっている。
5作の中では、『拝啓、僕のアイドル様』が、アイドルに一途になって手紙を書き送ったり握手会に出席したりする青年の心理描写に新鮮感があって、特に出来が良いように思った。

これらの作品の欠点を指摘するのは容易である。文章の稚拙さ、描写の貧弱さ等、たくさん見つけられるだろう。だが、人気芸人の余技と言って片づけることのできない何かがあるように思う。
それは、売れる小説を書こうというような下心が一切感じられない作者(劇団ひとりさん)の純粋の態度ではないだろうか。芸人だけでなく作家としても売ろうというような下心を持たず、ただ小説が書きたくて書いてみたというような姿勢が感じられるのだ(余談だが、自分で自分が大作家だと勘違いしていると思しき有名作家W氏の小説よりは、本書の方がよほど上である)。
その上、各作品に見られるユーモアとペーソスは、なかなかセンスの良さを感じさせるものだ。

劇団ひとりさんが、荒削りながらも、作家としてもかなりの才能を持っていることを示した作品集だと言えるだろう。



陰日向に咲く (幻冬舎文庫)
幻冬舎
劇団ひとり

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
私も読みました。
読書暦が浅いせいか、私は面白おかしく読ませてもらいました。
ただ、最後のセリフがもう少し短かったら…とは思いましたけど。
競馬必勝法も試してみたくなりました。

fumika
2008/08/15 18:12
fumikaさん、こんばんは!
コメントを頂き有難うございます。

『陰日向に咲く』、確かに面白おかしい作品ですね。
作品中のユーモアは、作者が芸人であるがゆえに創ることが
できたものかもしれませんね。

ただし競馬必勝法はやめた方がいいと思いますよ(笑)。
例えばサイコロを振ると、どの目の6分の1の確率で出るは
ずですが、ずっとサイコロを振り続けたとして、どの目も6
分の1で出たという結果になるためには、相当たくさん振ら
なければならないはずです。登場人物のギャンブラーは、そ
の点を無視しているように思います。
アルトゥール
2008/08/15 23:13

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