カイルベルトのベートーヴェン「交響曲第7番」

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一昨日の記事で、今の自分にとっては、ベートーヴェンはコンヴィチュニーとかカイルベルトがいちばん聴きやすい旨を書きました。今日はそのカイルベルトのベートーヴェンの交響曲第7番です。オーケストラはベルリン・フィル、1959年の録音です。

ベートーヴェンの第7番は、ダイナミックなベートーヴェンを代表する傑作です。周知のように、第2楽章はアレグレットであり、厳密な意味での緩徐楽章はありません。ワーグナーが「舞踏の権化」と呼んだように、全曲を通じてリズミカルで、前と前へと前進する躍動感に溢れています。
ところでぼくは、後期はもちろん初期・中期においても、ベートーヴェンの最大の魅力は、緩徐楽章における豊かな情感、リリシズムにあると思っています。そういうぼくからすると、この第7番は異色作ということになりますが、ここまでダイナミズムが徹底していると、それはそれで聴いていて十分、いや十二分に楽しめます。中でも熱狂する第4楽章は、若い頃からずっと大好きでいるのです。

カイルベルト(1908ー1968)ですが、ぼくはこの指揮者について、昨年までは、名前を聞いたことがある程度で何も知らずにいたのです。聴いたことがなかったのです。Testamentレーベルから復刻されたカイルベルトのワーグナー「ニーベルングの指輪」4部作のバイロイト・ライブが、ファンの間でたいへん話題になったことは知っていましたが…。
昨年カイルベルトの生誕100周年ということで、ワーナーミュージックからカイルベルトの国内盤が発売されたので何枚か聴いてみました。すると、たいへんしっくりときたのです。そこで次々に買い揃えたのです。
このベートーヴェンの第7番も、構築ががっちりとして引き締まった純ドイツ風の演奏で、主観を表面に出すことなく同曲の魅力を開花させた名演だと思います。
さらに特筆されるべきなのは、当時のベルリン・フィルです。1959年というとカラヤンが音楽監督に就任した直後だということになりますが、当時のベルリン・フィルはよくも悪くもまだカラヤン色に染まっていません。アンサンブルの完璧さはもちろん、弦楽部、特に低弦の地響きが感じられるような重厚な響きは、さすがベルリン・フィルという感がします。交響曲第7番の曲想とよくマッチしていると思います。

カイルベルトの指揮の下、ベルリン・フィルがその能力を十分に発揮した名演だと思います。

なお本曲は、C・クライバー盤について2度目の記事ですので、同盤を自己TBします。





ベートーヴェン:交響曲第7番&序曲集(2)
Warner Music Japan =music=
カイルベルト(ヨーゼフ)

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この記事へのコメント

2009年01月10日 00:04
私は1960年前後のベルリンフィルのいかにもドイツ的な重厚な音は本当に素晴らしいと思いますが、カラヤンがインターナショナルな音色に変えてしまった70年以降の音は好きではありません。あれはもう「カラヤン・フィル」ですので。
やはり60年頃のベルリンフィルの7番の名盤としてはフリッチャイ盤も絶対に忘れられないと思います。
2009年01月10日 06:21
ハルくんさん
おはようございます。
いつもコメントを頂き有難うございます。

70年以降のベルリン・フィルはハルくんと同様
にお考えの方が多いと思います。私はカラヤン時代
のベルリン・フィルは、決して嫌いではないですが、
今のベルリン・フィルはがっかりです。
この60年頃のベルリン・フィルは、ベームのモー
ツァルトが忘れられないです。
2009年01月10日 09:05
現在のオーケストラの音色の世界標準化をいち早く実現したのがカラヤンでしょうね。それは後のローカリゼーションの終焉を意味したと思います。
もちろん近代作曲家の演奏には問題ないのですが、ドイツで最も重厚な音が聴けなくなった代償は大きいです。別にその役目はシカゴでもクリーブランドでも良かったはずです。あれほどのドイツの音は残って欲しかったです。
現在でもドレスデンや北ドイツ放送とかドイツ風の音を感じさせるオケは有りますし、マイナーなデュッセルドルフ響あたりでさえドイツの立派な響きを聞かせてくれるのがせめてもの救いですが。
すみません、私は非常に保守的なものでして…。
天ぬき
2009年01月10日 09:52
おはようございます。
遅ればせながら本年もよろしくお願いします。

カイルベルト盤、ベルリン・フィルとの演奏は未聴ですがバイエルン放送交響楽団とのライブ盤は私のファーストチョイスです。重心が低くて質実剛健、録音もライブとは思えない素晴らしさです。
往年のベルリン・フィルサウンドは良かったですね。ベートーヴェンの7番、私が最初に買ったのはベーム/ベルリン・フィルのLPで、これが刷り込み。今でもCDに焼いて愛聴しています。
2009年01月10日 10:38
ハルくんさん、再度のコメント有難うございます。
仰るようにカラヤンはオーケストラ・ビルダーとして超一流で、
自分の求めるサウンドを実現するのにシカゴでもクリーブランド
でもよかったわけですから、自己の求めるサウンドを実現するた
めに天下のベルリン・フィルの重厚な音を犠牲にした罪は大きい
でしょうね。
私も現代のオーケストラの没個性化は本当に残念で、ウィーンフ
ィルやコンセルトヘボウ管なども、昔は…などど思うことはよく
あります。
ただこれはオーケストラや音楽に限った問題ではないと思います。
現在新録よりも昔の録音に人気が集まるのは、値段の問題だけで
なく、こうした問題があるせいでしょうね。
2009年01月10日 10:45
天ぬきさん
おはようございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願い申し上げます。
カイルベルトは、これからも注目していこうと思います。ワーグナー
「マイスタージンガー」はすでに持っています(但しミチョモランマ
です。なお「マイスタージンガー」を10種類以上(!)聴かれた
NVさんによると、カイルベルト盤は少なくともクーベリックよりは
下のようです)し、N響とのブルックナーも聴いてみたいです。
仰るように往年のベルリン・フィルの重厚なサウンドは良かったです
ね。私も、ベームは後年のウィーン・フィルとの録音より、ベルリン
・フィル時代の方が好きでいます。
ブルックナー
2009年01月10日 22:26
すみません、たびたび!

実は「マイスタージンガー」はカラヤン盤を愛聴しているのですよ。
オケがベルリンPOではなくてシュターツカペレ・ドレスデンだったもので。
あれがもしもベルリンPOだったら多分聴いていないと思います。(苦笑)

私はベームの後年のウイーンPOの中には結構好きなものが多く有りますよ。玉石混合だとは思いますが。
2009年01月11日 09:52
ハルくんさん、おはようございます。
再度のコメント有難うございます。

カラヤンの「マイスタージンガー」いいですか!
ブログ仲間の方によると、クーベリック最強のよう
ですが、評論家はカラヤンを推しているということ
は聞いたことがあります。
昨年、私はカラヤンの「パルジファル」を聞いて大
感動したので、カイルベルトで聞いて曲そのものが
楽しめたら、次はカラヤンにすると思います。

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