山口二郎『政権交代論』(岩波書店)

山口二郎『政権交代論』(岩波書店=岩波新書)という本を読み終えた。著者の山口氏は、1958年生まれ、現在北海道大学法学部教授である。本書は本年2009年3月19日の刊である。

ぼくが山口教授の著作を読むのは、『戦後政治の崩壊』『ブレア時代のイギリス』(ともに岩波新書)に続いて、3冊目だった。しかし山口氏は新聞・雑誌等で多く論考を発表しており、ぼくも時々読んでいるので、これで3冊目とは思えないほど親近感がある。一貫した社会民主主義の立場から、少なくとも従来型の自民党政治の限界を唱える山口氏の論調は非常に真摯で、信頼の持てるものだと思う。

さて本書『政権交代論』は、日本でも政権の交代、国民による政権の選択が必要であることを説くものである。
日本の議院内閣制の下では、議会における多数党が行政府をも支配しており、権力が多数党イコール内閣に集中している。野党や裁判所やメディアによる権力の監視については現状では限界があり、本来中立であるべき官僚制度も与党になびきやすい。
したがって、日本でも、本格的な政権交代が可能な政治システムを作り、権力の集中・独裁化を防ぐとともに、国民一人一人に、各自の理念に沿った政権の選択肢を提供することが必要だと説くものである。

そして、これまで実際に政権交代を実現してきたアメリカ及びイギリスの2大政党制の実情を紹介するとともに、日本でのこれまで及び現在の自民党政治の問題点を指摘し、今後の政権交代の可能性について展望する。

ところで、現在の麻生政権がどういう方向に向かっているのか、その迷走ぶりについては多くの有権者が認識していると思われるが、民主党も、最近の西松建設の政治献金事件(本書が執筆されたのは、西松建設の問題が起きる直前のことだった)によって、今一つ信頼できないと印象を有権者に与えたのではないだろうか。
直近の千葉県知事選挙で、無党派を標榜する候補が圧倒的多数を票を得て当選したのは、自民・民主両政党に関する不信感の現れだろう。

だが衆議院議員総選挙は今年中に確実にやってくる。まさに政権交代を賭けた選挙である。
これほど重要な意味を持つ選挙は、少なくともぼくが選挙権を得て(25年以上前です)から初めてである。今後何十年の日本は、今年の総選挙にかかっていると言っても過言ではないだろう。

そういった時期に、これまでの自民党政治はどうだったのか、もし自民党政権が続くとどういうことが起きるのか、民主党政権に代わるとどういうことが起きるのか、そういったことを考える材料として、本書は、昨年本ブログでも取り上げた野中尚人『自民党政治の終わり』(ちくま新書)とともに非常に有益だと思う。



政権交代論 (岩波新書)
岩波書店
山口 二郎

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中身はそんなに濃くな ...

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政権交代?この国を変える
講談社
岡田 克也

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政治ショーには向かな ...

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