ショルティのブルックナー「交響曲第9番」

東京は昨日までの3日間は真冬のような寒い日でしたが、今日は雲一つない快晴で気温も上昇しました。

今日は、ブルックナーの交響曲第9番を聴きました。演奏はゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団、録音年月は1985年9、10月です。

ブルックナーの交響曲第9番はぼくの大好きな曲です。ブルックナーに限らず、ずべての交響曲の中でいちばん好きな曲だというくらい好きです。

この曲については、以前本ブログで、チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルの演奏の記事を書いたことがあります。その時は、第1楽章では、大自然・大宇宙の時間性とか歴史性のようなものを感じる、第3楽章ではこの世ならぬ別世界に到達しようだ、などと書きました(下記の自己TBを御参照頂ければ幸いです)。

しかし今回ショルティ盤で聴いてみると、また別の感想が湧いてきます。
第1楽章は、ダイナミズムに溢れています。個々の微小な動植物から地球全体、さらに大宇宙のダイナミズムのようなものをそのまま実体験しているような気持ちになります。そのダイナミズムとはもちろん整然としたものではありません。全く混沌とした、空間における位置関係、時間の前後関係さえ分からないくらい混沌とした、しかし力強いダイナミズムです。

第2楽章も生命の鼓動というより、無生物も含めたダイナミズムそのものに聴き手が直面しているような気持になります。

第3楽章のアダージョもただ静かで美しいのではありません。1,2楽章から続けて聴くことで、混沌とした中から、新しい生命そのもの、あるいは物体の誕生に直面しているような気持ちになります。そして、何か前途に視野が広がってくるというのか、希望のようなものが見えてくるのではないでしょうか。

ショルティ指揮シカゴ響は、たいへん素晴らしいものです。まず第1楽章の悠揚としたテンポの取り方が素晴らしいし、全曲を通じて、シカゴ響の機能性というのでしょうか、実力がフルに発揮された演奏です。
この演奏で足りないものがあるとしたら、素朴さとか古拙さ、あるいはチェリビダッケとかスクロヴァチェフスキのような個性ではないしょうか。
裏を返せばショルティ盤は、完璧であり、しかもクセのないスタンダードな演奏だということです。
それほど、完全無欠な演奏だと思います。

最後に少し脱線になりますが、ショルティについて一言。
ショルティはブルックナーとマーラーの交響曲全曲を録音した数少ない指揮者の1人です(他にハイティンク、インバル、シャイーもそうだと思います)。しかしブルックナーよりもマーラーのイメージが強いのではないでしょうか(逆にハイティンクはブルックナーのイメージが強いように思います)。しかし本録音を聴く限り、ショルティのブルックナーは大したものだと思います。

またショルティは、その明快で力強いスタイルが底の浅いことの裏返しだと思われたようで、日本の評論家の間では評価の低い指揮者です。しかしぼくに言わせると、ショルティは交響曲からオペラ、宗教曲に至るまで凡演の極めて少ない指揮者です(というよりショルティの凡演など聴いたことがありません)。
その残された膨大な録音、特に本演奏を含む晩年のどこか茫洋とした演奏が再評価される日を期待したいものです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

rudolf2006
2011年12月05日 05:26
アルトゥールさま お早うございます~

ショルティはこの「国」では正当な評価がなされていないように、私にも思えます。
その原因の一つは、訳の分からない「本場もの」崇拝、一つは「アメリカのオケに対する偏見」ではないかと~。はっきり言うと、「上手い演奏」が嫌いなのではないかなと、爆~。
ショルティはまだ良い方で、オーマンディ師などボロクソですから(Y先生の影響もあるかも~)。

ショルティのブルックナーが素晴らしいと言ってしまうと、総攻撃を浴びそうな予感もしますね~ されたとて、たいしたことはないのですが~。

このところ、9番では、ブルックナーは8番までとはまったく別の世界に達しているのではないかなと思い始めています。
ある一線を越えた曲のように思えるのですよ、ショルティの演奏はそれを上手く表現しているように、私には思えます

ミ(`w´彡)
2011年12月06日 07:31
rudolf2006さま
おはようございます。
コメントを頂き、有り難うございます。

仰る通り、オーマンディは日本の評論家の間では評判悪いですね。
「フィラデルフィア・サウンド」が外面だけで中身がない、という評価
が多いように思います。私自身はというと、オーマンディはコンチェルト
指揮者として以外はよく知らないというのが実情なのですよ。
こちらもお金を払ってLP・CDを買う身ですから、評判の悪いディスク
はやっぱり敬遠せざるを得なかったという面はあります。

ショルティも評判最悪ですよ。評価されているのはワーグナーだけで、
ブルックナーもマーラーも相手にされていないというのが実情では
ないかと思います。
しかしショルティのブルックナーはオケの実力を最大限に発揮させ、
デリカシーも十分あるある意味究極的な演奏だと思うんですが。

確かにアメリカのオケは、日本では、バーンスタイン/ニューヨーク
フィルとセル/クリーヴランドを例外として評判が良くないですね。

この記事へのトラックバック

  • チェリビダッケのブルックナー「交響曲第9番」

    Excerpt: 今日は秋晴れの天気の良い日でした。1年中今日のような天気だったら良いのに…と思うような陽気でした。 今日は最近あまり聴いていなかったブルックナーを聴きました。チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルの演.. Weblog: クラシック音楽のある毎日 racked: 2011-12-04 21:30