スーク・トリオのベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第5番『幽霊』」

今日の東京は曇り空の蒸し暑い1日でした。東京は8月に入ってから雨続きで、今年は異常と言えるほどの冷夏です。

今日は、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番「幽霊」作品70の1を聴きました。演奏はスーク・トリオです。1983年6月28日のDENONレーベルへの録音です。

本曲は、急・緩・急の3楽章構成を採ります。第1楽章は明朗闊達です。
第2楽章は一転して物悲しくなり、情感豊かです。ピアノのトレモロが印象に残ります。
第3楽章はまた一転して明るくリズミカルで、聴いていて楽しくなります。
本曲は大傑作とは言えませんが、なかなかの佳曲ではないでしょうか。

本曲に限らず、ベートーヴェンの全部で7曲のピアノ三重奏曲(ピアノ・トリオ)には佳曲が多いのではないでしょうか。有名な曲は最後の第7番「大公」だけという状況ですが、「大公」や曲の他にも佳曲は多いと思います。
具体例を挙げると、本曲とペアをなす第6番作品70の2です。管理人は、個人的には「幽霊」のニックネーム(このニックネームの由来は定かでないようです)を持つ本曲よりも、第6番の方を好んでいます。

ベートーヴェンがその生涯を通じて作曲した最後のピアノ・トリオは第7番「大公」で、1811年、彼が45歳の時の作曲でした。従って、1815年以降のいわゆる「後期」には、ピアノ・トリオは1曲も作曲されなかったことになります。この点は同じ室内楽分野のヴァイオリン・ソナタと似ています。ヴァイオリン・ソナタも、1812年に作曲された第10番が最後で、後期には作曲されていません。チェロ・ソナタは第4、5番の2曲が後期に作曲されているのですが…。
このことは残念な話です。管理人は、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲やピアノ・ソナタのスケール大きく、深々とした玄妙な世界に取り憑かれた者なので、後期にピアノ・トリオが作曲されていたらどんな曲が出来ていたのだろう…と無益な想像をしてしまいます。あのフォーレのピアノ・トリオに匹敵する作品が創られていたのではないでしょうか。

スーク・トリオの演奏ですが、録音当時のメンバーは、ヨゼフ・ハーラ(p)、ヨゼフ・スーク(vn)、ヨゼフ・フッフロ(vc)です。スーク・トリオは1979年、ピアニストがヤン・パネンカからハーラに交代しており(パネンカの故障が原因です)、ハーラ時代の録音ということになります。
常設のピアノ・トリオらしく、3人の呼吸はぴったりです。メンバーが自己の技を見せようとするのではなく、曲をアンサンブルとして聴かせようとする演奏です。弦の2人の音色は、弦の国チェコらしく柔らかく木目の肌のような美しさです。本曲の理想的な演奏だと思います。

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