アルバン・ベルクSQのモーツァルト「弦楽四重奏曲第21番」

東京は今日も初夏のような陽気の1日でした。管理人は午後、一人で「ジュンク堂池袋店」に行き、本を探して回りました。管理人は本が好きで、書店で過ごす時間は至福のひと時です。

今日の1曲はモーツァルトの弦楽四重奏曲第21番二長調K575です。演奏はアルバン・ベルク弦楽四重奏団です。同SQの1976年のTeldec(現在はワーナークラシックス)への初回録音です。

モーツァルトは生涯に23曲の弦楽四重奏曲を作曲しましたが、21番以降の最後の3曲はプロシャ王に依頼により作曲され同王に捧げられたものです。「プロシャ王セット」と呼ばれることがあります。今日聴いた曲はその中の最初の21番です。

ところでモーツァルトの弦楽四重奏曲は、14番から19番までの6曲の「ハイドン・セット」が傑作として有名な反面、それ以降の4曲は軽く見られる傾向があるのではないでしょうか。しかし「プロシャ王セット」は、「ハイドン・セット」のような内容の濃さはないのかもしれませんが、それとは別の魅力を感じます。晩年のモーツァルト(本曲は33歳という亡くなる2年前の作品です)らしい軽妙さ、淡白さ、それに何ものにも囚われない自由さが感じられるのです。
今日聴いた21番二長調もそうです。急・緩・急・急の4楽章構成を取りますが、管理人は特に両端楽章の流麗さに強い魅力を感じます。

今日聴いたのは、アルバン・ベルクSQの最初の録音です。録音当時のメンバーは次の通りです。
ギュンター・ピヒラー(第1vn)
クラウス・メッツル(第2vn)
ハット・バイエルレ(va)
ヴァレンティン・エルベン(vc)

後年のアルバン・ベルクSQほど濃厚ではなく、後年には失われてしまったフレッシュさをを感じさせる演奏です。また後年ほど第1vnのピヒラーが前面に出ているわけではありません。もっともメリハリの付け方などにアルバン・ベルク節のようなものが出ています。
また各奏者の演奏技術の高さ、アンサンブルの完成度は、現在では同程度のカルテットは珍しくなくなりましたが、1970年代当時は破格のものだったはずです。管理人は同SQのモーツァルトやベートーヴェンが登場した当時をリアルタイムで覚えていますが、保守的と言われ新しい団体の受容が遅れがちだった室内楽の世界で大きな反響を呼んだものでした。
アルバン・ベルクSQは、第2vnがゲルハルト・シュルツに、vaがトマス・カクシュカに代わった後、1990年代にEMIレーベルにモーツァルトの14番以降の9曲の弦楽四重奏曲の再録音を果たしますが、その時は濃厚かつシンフォニックな演奏で、モーツァルト作品との様式的齟齬を感じさせる演奏でした。少なくともモーツァルトに関しては今日聴いた1970年代のテルデック時代の方が良かったように思います。

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