クレーメルのベルク「ヴァイオリン協奏曲」

今日の東京は、曇り空の蒸し暑い1日でした。
今日の1曲は、アルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲です。演奏は、ギドン・クレーメル(vn)とコリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団です。1984年3月14~16日のPhilipsへの録音です。

ベルクのヴァイオリン協奏曲は、十二音技法で書かれたベルクの代表作の一つです。ベルクやシェーンベルクのような新ウィーン楽派とかマーラーは、夏に聴くのにふさわしいのではないでしょうか。彼らの濃密で色彩感溢れた曲想は夏に合っているように思います。

さてベルクのヴァイオリン協奏曲ですが、2楽章構成を取り、第1楽章がアンダンデ、第2楽章がアレグロと指定されています。
本曲は、アルマ・マーラーが、夫マーラーの死後再婚したグロピウスという建築家の間に設けた少女マノンがわずか18歳で亡くなったことをベルクが悼んで作曲したもので、「ある天使の思い出」という献辞が付されています。そしてライナーノート(石田一志)によると、第1楽章はマノンの本質的な性格描写、第2楽章は現象的な病魔との闘いと死、象徴的な天国への召喚という標題音楽的な側面があるということです。
しかし、何の予備知識もなしに本曲を聴いて、そのようなことがイメージできるでしょうか。リスナーの大半は、難解だけれども濃厚で緊張感のみなぎった音楽としか分からないのではないでしょうか。
それで良いのだと思います。本曲のリスナーは、ベルクがマノンの死を悼んで作曲したという背景を気にせずに、濃密で緊迫した音世界に身を委ねればそれでよいのだと思います。なお本曲は管理人がなかなか愛好している曲です。

クレーメルの演奏ですが、客観的・冷静にベルクの音世界を解剖していくような演奏です。ピエール・ブーレーズの新ウィーン楽派の演奏のようなものです。曖昧な面は一切排除され、一音一音が丁寧に正確に鳴らされます。明晰かつ緊張感溢れる演奏です。曲を隅々まで分析した主知的な演奏と言えます。
デイヴィス指揮のバイエルン放送交響楽団は、本録音ではクレーメルのサポートを心掛けているようで、その目的を達したと言えますが、バイエルンらしい流麗さに欠けるように思え、もっと自己主張してもいいように思いました。

本クレーメル盤は発売当初から「レコード芸術」誌の評価が高いように思います。
決して管理人の嫌いなタイプの演奏ではないのですが、もっと別の行き方があるように思います。本曲はパールマン、チョン・キョンファ、ムターなども録音しています。管理人は彼らの演奏を聴いたことはありませんが、彼らならもっと美麗だったり情熱的な演奏をしているのではないでしょうか。クレーメルのやり方とはまた別の路線があるのではないか、と思うのです。

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