タカーチSQのシューベルト「弦楽四重奏曲第13番『ロザムンデ』」

今日日曜の東京は冬晴れです。昨日から気温が下がり風の強い一日です。
今日はシューベルトの弦楽四重奏曲第13番イ短調D804「ロザムンデ」を聴きました。
演奏はタカーチ弦楽四重奏団です。2006年5月22〜25日のハイペリオン・レーベルへの録音です。同四重奏団がデッカからハイペリオンに移籍して初の録音です。同四重奏団はデッカ時代にも本曲を録音しており、今日聴いたハイペリオン録音は再録音ということになります。

シューベルトの弦楽四重奏曲というと、第14番D810「死と乙女」が最も有名です。しかし管理人はその前後の第13番「ロザムンデ」と第15番D887を、第14番「死と乙女」に匹敵する名曲だと考えています。これら3曲をシューベルトの後期3大弦楽四重奏曲と呼びたい気持ちです。

本曲第13番「ロザムンデ」は急・緩・急・急の古典的な4楽章構成を取ります。
まず第1楽章が素晴らしい出来栄えなのではないでしょうか。全体的にほの暗い雰囲気の中、歌謡性とダイナミズムが流れています。
第2楽章では歌曲「ロザムンデ」からの引用があります。第1楽章がほの暗いのに対し、ほの明るい楽章です。歌謡的で幻想的な楽章です。
第3楽章はメヌエットです。かなり自由なメヌエットだと思います。シューベルトがロマン派の作曲家であることを実感させます。
第4楽章は一転して明朗です。
このように楽章ごとに特徴のある曲なのですが、全体的に情緒が濃く、情緒纏綿とした趣のある曲です。

タカーチSQの録音時のメンバーは次の通りです。
エドワード・ドゥシンベル(第1vn)
カーロイ・シュランツ(第2vn)
ジェラルディン・ウォルサー(va)
アンドラーシュ・フェイェール(vc)
本録音は、第1vnがガーボル・タカーチ=ナジからドゥシンベルに交代して約10年が経過し同SQが熟成期に入りつつあった時期の録音です(なお、管理人が昨年同SQのコンサートに行った時知ったのですが、現在では、2006年当時のメンバーから第2vnが交代しています)。

本演奏は、曲の核心に踏み込もうと真摯に取り組まれたことが伝わってくる名演だと感じます。
各楽章の性格の特徴・違いを把握し、楽章ごとの描き分けがなされた演奏です。本曲の場合そのような楽章ごとにメリハリをつけないと、全体的に冗長に聴こえがちになります。タカーチSQの構成的なアプローチは適正と言うべきです。
各奏者の演奏技術・アンサンブルの緊密さ、共に万全です。
本曲の演奏史において第一に取り上げられるべき名演と言っても過言ではないと思います。

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この記事へのコメント

2020年02月09日 23:45
アルトゥール様、こんにちは。

素敵な作品ですね、そして"これら3曲をシューベルトの後期3大弦楽四重奏曲と呼びたい気持ちです。"に心より共感いたしてます。

そして嬉しいのはタカーチSQの演奏が素晴らしい事を、丁寧で心のこもった記事から感じられた事です。
私にとって宝物のように大切な情報を得る事ができて感謝で一杯です。

素敵な記事をありがとうございます。
アルトゥール
2020年02月10日 18:38
よしな様
コメントを頂き、有り難うございます。
私はシューベルトの「後期3大弦楽四重奏曲」と弦楽五重奏曲に非常に深く玄妙なものを感じます。
シューベルトのこれらの曲は、大袈裟に言えば、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲と並び、バロック以降の器楽曲(声楽を含まない作品という意味です)の分野で最も深淵な地点に到達した作品ではないかと思います。恐ろしいような音楽だと思います。
作曲当時わずか30歳前後だったシューベルトが、どうしてこんなに恐ろしく深い音楽を書くことができたのか、以前から不思議でなりません。