ユボー/ガロワ=モンブラン/ナヴァラのフォーレ「ピアノ三重奏曲」

フォーレ:室内楽全集第2集 - ユボー(ジャン), フォーレ, ジャン・ユボー, ヴィア・ノヴァ四重奏団
フォーレ:室内楽全集第2集 - ユボー(ジャン), フォーレ, ジャン・ユボー, ヴィア・ノヴァ四重奏団
今日の東京は、昨日まで3日続いた雨が上がり、穏やかな一日です。
今日の1曲は、フォーレ「ピアノ三重奏曲ニ短調作品120」です。
演奏は、ジャン・ユボー(p)、レイモン・ガロワ=モンブラン(vn)、アンドレ・ナヴァラ(vc)です。録音はERATOで、ERATOのフォーレ室内楽全集の一環として録音されたものです。録音年代はライナーノートによると1969〜1970年です。
本曲は1922年から23年にかけての作曲で、フォーレ(1845ー1924)最晩年の作品です。本曲の後には弦楽四重奏曲ホ短調作品121が存在するくらいです。

本曲は急・緩・急の3楽章構成を取ります。
第1楽章はピアノのアルペジオで始まり、高雅かつ穏和な楽章です。
第2楽章が本曲最大の聴きどころと思います。ピアノ伴奏に乗って、ヴァイオリンとチェロが絡み合いながら、穏やかで繊細で息の長い旋律を奏でます。まるで湖にたゆたう小舟に乗っているようです。穏やかさと玄妙さと底知られぬ深遠さが感じられます。
第3楽章は高揚しますが、全体としては穏やかな楽章です。

本曲は管理人の大好きな曲です。フォーレの全作品で最も好きなのが本曲かもしれません。
フォーレは若い時から晩年までの間に、「エレジー作品14」のような小曲を除くと全部で10曲の室内楽曲を作曲していますが、管理人の見たところその中で最高傑作は、最晩年の2曲、すなわち本曲ピアノ三重奏曲と弦楽四重奏曲だと思います。

わが国の音楽評論界の大御所・故吉田秀和先生はフォーレの室内楽曲を高く評価されていました。吉田先生は『私の好きな曲』(ちくま文庫)で次のように述べておられます。

「ボン出身の巨匠(=ベートーヴェン)の創造の中心に、ピアノ・ソナタと交響曲と弦楽四重奏の三つのジャンルがあったように、フランスの音楽家(=フォーレ)の場合は、歌曲と、ピアノ曲と、それから室内楽があるのである。
この三つのジャンルの作品は、ほぼ彼の創作の全期間を通じてみられるし、また、それぞれの時期で、創作の中核をなしている(中略)。
私は、そのなかで、室内楽を特に高く評価する。ピアノ曲や歌曲にも大好きな作品、非常に価値の高い作品のあることは確かである。ただ、フォーレを偉大な作曲家とするその最大の証しは、室内楽のなかに、最も充実した形で出ていると思うのだ。そこにはピアノ曲や歌曲の場合のように、フォーレ芸術の精髄を蔵しているというだけでなく、この芸術の比類のない良さを、その拡がりと深みの全域にわたって提出しているという性格があるのである。」(同書297〜298頁)。

一々頷かされる内容です。
話が少々脱線しますが、管理人がフォーレの室内楽曲に親しむようになったのは、1980年代に吉田先生と故・大木正興先生の著作を読んでからだったと思います。両先生、特に吉田先生の著作はいつ読んでも慧眼と感じる個所が多く、今までずいぶんお世話になったという実感がします。

ユボー、ガロワ=モンブラン、ナヴァラによる演奏家は、フランスの演奏様式を身に付けた室内楽の大家によるものです。曲の性質によく適合した演奏だと思います。本曲はあまり大きな表情を出さずにデリケートに演奏することが重要で、その上フレッシュさを出すことも控えた方がいいと思いますが、ユボーらの演奏はその辺を十二分に心得ています。自己主張をせず曲をごくデリケートに取り扱っています。
アンサンブルの呼吸感も万全で、名曲の名演と言えるものです。

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