ロストロポーヴィチ/デデューヒンのプロコフィエフ「チェロ・ソナタ」

今日の東京は秋晴れの1日でした。湿度が低くカラッとしていましたが、日が暮れる時刻は早く、秋であることを実感します。
今日の1曲は、プロコフィエフの「チェロ・ソナタ」ハ長調作品119です。演奏はムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)とアレクサンドル・デデューヒン(p)です。デデューヒンはロストロポーヴィチの旧ソ連時代、彼の伴奏ピアニストとして活躍したピアニストです。
録音1967年1月10日で、ライヴ録音です。管理人が持っているのは2000年代に発売されたBrilliantレーベルのボックスですが、初出時は旧ソ連の国営レーベルだったメロディアだったはずです。

本曲はプロコフィエフ唯一のチェロ・ソナタであり、第二次大戦後の1949年というプロコフィエフ(1891ー1953)後年の作品です。作曲に際し、旧ソ連の大チェリストだったロストロポーヴィチの多大な助力があったと伝えられています。

本曲は3楽章構成となっており、各楽章の楽譜指定は次の通りです。
第1楽章 アンダンテ・グラーヴェ
第2楽章 モデラート
第3楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

第1楽章と第2楽章は落ち着いた楽想でチェロがヴィルトゥジティを発揮します。そして第3楽章で高揚します。
全曲的に前衛性と叙情性の共存というプロコフィエフの個性がよく出ています。また全曲を通じてチェロが前面に出て名技性を発揮し、随所に超絶技巧を見せる曲です。ピアノはもっぱら伴奏の役割のようです。特に第3楽章での高揚感とチェロの歌い回しが印象に残ります。
本曲はあまり知名度がないように思いますが、本曲でのチェロの演奏はたいへん聴きごたえがあります。チェロの旋律を聴いているだけで満たされた思いになります。
管理人の考えでは、本曲は20世紀のチェロの名曲の一つです。

本演奏でのロストロポーヴィチは、思う存分実力を発揮しています。大きなヴィブラートをかけて表情をつけ、朗々とした歌い回しを聞かせます。低音領域での骨太の音色はロストロポーヴィチならではです。野を駆けるライオンのように自由自在、やりたい放題の演奏です。
ロストロポーヴィチ自身の多大な協力を作られた本曲自体が、彼の名技性を念頭に置いて作曲されたと考えられ、このような主観的な演奏を可能にしているのだと思います。また本曲をできるだけ多くの人に聞いてもらいたいというロストロポーヴィチのみなぎる気合の感じられる演奏です。

ただしロストロポーヴィチのやり方以外での本曲へのアプローチもありうるのではないでしょうか。いくらロストロポーヴィチを念頭に作曲されていると言っても、彼が唯一絶対ではないのではないかということです。
本曲には彼とほぼ同時代のフルニエ、トルトゥリエら西ヨーロッパの名チェリストによる録音はないようです。東西両陣営が対立していた時代の反映だと思います。しかし旧ソ連の崩壊後、1990年代にヨーヨー・マが録音しており、21世紀に入ってからスティーブン・イッサーリス、ゴーティエ・カプソンらさらに若い世代の録音のチェリストも録音を果たしています。
管理人はと言えば、ロストロポーヴィチの2種類、すなわち本録音と1956年のスヴャトスラフ・リヒテルとの共演しか聴いたことがないのですが、これら最近の録音もいつか聴いてみたいと思っています。



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