バルトークSQのブラームス「弦楽五重奏曲第1、2番」

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ブラームスの弦楽五重奏曲第1番作品88と同第2番作品111を聴いてみた。演奏はバルトークSQとジョルジ・コンラッド(va)で、1971年から74年にかけてのHungarotonレーベルへの録音である。コンラッドはバルトークSQと同じハンガリーのタートライSQのヴァオラ奏者である。

ブラームスの室内楽、それも弦楽五重奏曲ともなれば渋い曲に見えるのではないだろうか。第1、2番とも作品番号が大きいからなおさらである。だが両曲とも意外に明るい、のどかな曲である。また弦楽四重奏にヴィオラが1挺加わったことで、厚みと広がりが増している。

第1番は急―緩―急の3楽章構成である。ただ急速楽章と緩徐楽章の差はあまりなく、全体的に温和でのどかな雰囲気に包まれている。晩年のブラームスが「孤独だが自由だ」と語ったという有名な話があるけれど、この曲では彼の「自由な」感情が前面に出ているようだ。
これに対して第2番は急―緩―急―急の4楽章構成で、第1番と比べると各楽章の性格ははっきりしている。またスケール感や感情の起伏も感じられる。この曲の第1楽章冒頭でチェロが奏される個所は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」の冒頭を思わせるものがある。ただし第2番も全体的には温和な雰囲気だと思う。両曲ともなかなかの名曲ではないだろうか。
こういった心の優しいお年寄りを思わせるような温和さはブラームスならではのもので、ぼくは他の作曲家でこういう音楽を書いた人を思いつかない。晩年のブラームスの「孤独で自由」な心境がそのまま現れているのだろう。

バルトークSQの演奏はやや早めの演奏で、各奏者の音色や演奏スタイルの均一性は申し分ない。たいへん満足できる演奏だと思う。ただこのCD(HCD11591~93)は、ブラームスの3曲の弦楽四重奏曲、2曲の弦楽六重奏曲とともに収録されているセット物だけれど、ぼくが購入したのは10年以上も前のことなので、もう廃盤になっているかもしれない。

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