ブダペスト四重奏団のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第10番『ハープ』」

今日の東京は昨日から涼しくなり、時間帯によっては雨の降る1日です。
衆議院総選挙の日ですが、現時点では投票は順調に進んでいると報道されています。

今日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第10番「ハープ」です。演奏はブダペスト四重奏団、1960年6月の旧CBSへの録音です。

ぼくはこの弦楽四重奏曲第10番が大好きでいます。ベートーヴェンの16曲の弦楽四重奏曲の中では、12番と並んで最も聴く回数の多い曲です。
まず全曲を通じて流れる温和な楽想に魅かれます。春の日だまりのような、教養と心のやさしさを兼ね備えた老人の語り口を聞くような、温かくて穏やかで典雅な楽想です。
室内楽の歴史の中で他にこの作品のような境地に達しているのは、ブラームスの弦楽五重奏曲第1番くらいしか思いつきませんが、どうでしょうか。
ぼくはこの作品を聴いていると、つい心が穏やかになっていくのを感じます。

ベートーヴェンには、この「ハープ」をjはじめ、中期の最後から後期に入る時期にかけて佳作を残しているように思います。ピアノ・ソナタ第26、27番や交響曲第8番がその他の例です。

ブダペストSQの演奏はステレオ時代のもので、彼らの長い活動歴の中で最後年に当たる時期のものです。
今回久しぶりに聴いて、やはり独自の風格のある名演だと思いました。とりわけ第2楽章でゆっくりめのテンポのままテンポを変えず、感情の過剰な移入を排した演奏をしているのは立派だと思います。

ブダペストSQはぼくがクラシックを聴き始めた1970年代後半、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏のスタンダードとされていました。
当時はベーム、カラヤンの交響曲、バックハウスのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲、オイストラフ/オボーリンのヴァイオリン・ソナタ、それにブダペストSQの弦楽四重奏曲が、ベートーヴェンを聴くスタンダードとされていました。
ぼくがこの「ハープ」を初めて聴いたのも、ブダペストSQ盤だったと思います。
その後80年代に入ったからスメタナSQがデジダルでの全集録音を完成させ、またアルバン・ベルクSQの全集が登場し、ブダペストSQの地位は相対的に下がっていったように思います。

しかし今回聴いてみて、一世を画しただけのことのある格調の高い演奏だと思いました。「ハープ」に関しては、ズスケSQによる絶対的名演がありますが、ブダペストSQ盤もまた折にふれて聴いてみたいと思いました。


追記 本局に関しては、過去にバルトーク四重奏団による演奏の記事を書いたことがありました。2007年4月20日という古い記事ですが、自己TBします。

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