ラサール四重奏団のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番」

画像今日の日曜は意外に寒く、冬が近づいていることを実感させられる1日でした。
今日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130を鑑賞しました。演奏はラサール弦楽四重奏団、録音年月は1972年12月です。

ベートーヴェンの後期の5曲の弦楽四重奏曲は、実際には第12番の次に15番が作曲され、13、14番と続いて最後の16番が作曲されています。したがって今日聴いた13番は、ベートーヴェンの14曲目の弦楽四重奏曲だということになります。

本曲は6楽章構成で、緩・急・緩・急・緩・急と、緩徐楽章と急速楽章が交互という構成が取られています。しかし第2楽章と第4楽章は演奏時間が短く、緩徐楽章と緩徐楽章の間の橋渡しに過ぎないかのようです。
そして、橋渡しされた第1楽章と第3楽章ですが、その温和な曲想は同じベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番を思わせるものがあり、味わい深い楽章です。

本曲のクライマックスは、第5楽章と第6楽章です。第5楽章は、ベートーヴェン自身が「自分がこれまで作曲してきた中で最も感動的な楽章」と語ったという逸話のあるくらい、感動的な楽章です。カヴァティーナという名が付けられています。これまでの過去をしみじみと振り返るように、息の長い旋律がつむがれます。

第6楽章はベートーヴェン自身は、元々大フーガを第6楽章として作曲したのですが、長すぎるとか理解不能といった批判を受け、後年、アレグロ楽章に差し替えました。しかし今日聴いたラサール四重奏団は、原曲どおり大フーガを第6楽章として録音し、後年アレグロ楽章を録音しています。
ぼく自身もラサール四重奏団のように第6楽章を大フーガにする方が好きでいます。
来し方をしみじみと振り返るカヴァティーナの直後に、長大で、まるで現代音楽のように前衛的な、未来を見据えた大フーガが続いて演奏されるというのは、そのような構想自体が実験的な試みであり、ベートーヴェン自身の革新性を示すものではないでしょうか。

ラサール四重奏団の演奏は、チェロがジャック・カースティンだった時代の最後の録音です。同四重奏団は、この録音の直後、チェロがリー・ファイザーに代わっています。同四重奏団のベートーヴェンの後期弦楽四重奏段の録音は、最初に録音されたこの13番のみがカースティン時代で、残りの4曲はファイザー時代のものです。
演奏は、ベートーヴェン後期の深遠で玄妙な側面をあまり強調せず、客観的・純音楽的なアプローチを取ったものです。そのせいか、聴いていて耳の心地よく聴こえます。各奏者の音色の均一性、アンサンブルの精緻さとも申し分なく、申し分のない名演だと思います。同四重奏団のベートーヴェンの中では、最も傑出した演奏だと思います。


追記 本曲については、過去にリンゼイ四重奏団の録音の記事を書いたことがあります。その時の記事を自己TBしました。
また冒頭の写真は、現在建設中の「新東京タワー」です。

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