ブレンデルのベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』」

今日の東京は冬晴れの暖かな1日でした。
今日はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」を鑑賞しました。
演奏はアルフレッド・ブレンデルです。1995年2月3日のウィーン・ムジークフェライン・ザールでのライブ録音です。
本録音はブレンデルの3度目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の中の1曲です。

この「ハンマークラヴィーア」というニックネームを持つソナタ29番は、今日聴いたブレンデル盤で演奏時間が約43分に達し、ベートーヴェンの全32曲の中で突出して長大ですが、内容もまた、広大で深遠なのではないでしょうか。

第1楽章の冒頭からして、突出したスケールの大きな楽想です。これまでベートーヴェンが書いてきた28曲のピアノ・ソナタとはまりで別次元にあるかのような、スケールの大きい、前衛的で未来志向の楽章です。
第2楽章はわずか2分40秒のスケルツォですが、そのように切り捨ててしまうことのできない前衛性が感じられます。
第3楽章は緩徐楽章です。17分46秒という、曲の中で最も長い、叙情的な楽章です。ここで奏されているのは、作曲者ベートーヴェンの深い内心の吐露というというより(そのような面もあると思いますが)、楽章自体が一つの小宇宙、ミクロコスモスを形成しているかのように感じられます。

第4楽章は何と形容したらよいのでしょうか。ぼくは長い間、この楽章が理解できずにいました。今でも理解したと言う自信はまるでありません。ただ自分なりの理解のようなものが徐々に芽生えてきたというだけのことです。
非常に未来志向で、当時がら何百年先の未来までも見据えた楽章なのではないでしょうか。
このような楽章は、ベートーヴェンの生前はもちろん、没後も19世紀の間には書かれることはなかったはずです。20世紀に入ってからの現代音楽の中に、やっと、これに比肩する音楽が現れたのではないでしょうか。
音楽によって語ることのできる最大限のことが語られているのが、この楽章ではないでしょうか。

ブレンデルの演奏はライブならでの生き生きとした流麗な演奏です。それだけでなく、緩徐楽章での多彩な感情表現には驚かされます。第4楽章での感興に乗った演奏もすばらしいと思います。

本録音は、ブレンデルの3回目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の中でも特にすぐれた演奏だと思います。ブレンデルのすべての録音の中でも、自分が聴いた中では、屈指の演奏のように思えます。

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