ランスロのモーツァルト「クラリネット協奏曲」

東京は今日も、五月晴れの好天気でした。
今日の1曲はモーツァルトのクラリネット協奏曲イ長調K622です。演奏は、ジャック・ランスロ(cl)とジャン=フランソワ・パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団です。1963年のエラートへの録音です。

モーツァルトのクラリネット協奏曲は、言うまでもなく彼のクラリネット五重奏曲と並ぶ傑作です。管理人の好みは五重奏曲の方ですが、両曲ともモーツァルトの全作品中屈指の作品であり、クラリネットのために書かれた古今の全ての作品の中で一、二の傑作であることは間違いありません。
本曲は急・緩・急の3楽章構成を取ります。
第1楽章はモーツァルトらしい優雅さで活気があります。
第2楽章はまさに絶美です。清澄です。天国です。オーケストラをバックに独奏クラリネットが息の長い旋律を紡いでいく個所は、本当に味わい深いものがあります。そしてその中からモーツァルト最晩年の悲哀の感情が聞こえてきます。
第3楽章は一転してロンド風に典雅に軽快に変わりますが、この第3楽章でも、どこからとなく悲哀の感情が聞こえてくるのではないでしょうか。そして、この悲哀の感情というものは、実は最初の第1楽章でも聞き取ることができるのではないでしょうか。
本曲はモーツァルトが35歳で逝去する2ヶ月前に完成した曲とのことですが、彼の最晩年の一切の世俗から離れた清澄な境地とその裏腹にある悲哀の感情が、クラリネットという何とも言えない柔らかで深い音を出す楽器に託して現れた傑作だと言えるように思います。

ランスロは往年のフランスのクラリネットの名手です。彼の用いている楽器はウラッハやライスターのドイツ・オーストリア系のクラリネットと異なるフレンチ・クラリネットで、ドイツ・オーストリア系よりも明るく軽妙な音が聞かれます。ただ今日聴いて感じたのですが、どうも賑やかすぎて、モーツァルトの最晩年に書かれたこの曲の澄み切った境地と果たして適合しているのかどうか…。
本録音は通常、昔から名曲の名演として有名なランパル/ラスキーヌ/パイヤールの「フルートとハープのための協奏曲」とカップリングされているため、リスナーの耳に触れる機会は多いと思われるにもかかわらず、ランパルらの「フルートとハープ」ほどの名声を得ていません。今日聴いてみて、その理由が分かるような気がします。
これに対し、パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団のバックは、引き締まって活気のある立派な演奏だと思います。
モーツァルト : フルート&ハープ協奏曲&クラリネット協奏曲
ワーナーミュージック・ジャパン
2000-06-21
ランパル(ジャン=ピエール)

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