ブダペストSQのベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番『ラズモフスキー第1番』」

東京は昨日1月12日は曇り空で冷え込みの厳しい1日でしたが、今日13日は晴天で寒さは和らぎました。
今日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番作品59の1「ラズモフスキー第1番」を聴きました。演奏はブダペスト弦楽四重奏団の1952年5月5~9日の録音です。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番は、ベートーヴェン壮年期の創作活動が活発だった時期に作曲された作品で、いわゆる「傑作の森」の中の1作です。
本曲を聴くと、ベートーヴェンが弦楽四重奏曲第6番までの初期弦楽四重奏曲から一歩大きな歩みを踏み出したことが分かります。
本曲は急・急・緩・急の4楽章構成を取ります。第1楽章のチェロで奏される開始部分はスケール雄大で、交響曲第3番「英雄」と双璧ではないでしょうか。第2楽章はアレグレットですが、内容が充実しています。第3楽章はアダージョですがメスト(沈痛に)の指定がなされ、感情がたいへん豊かです。終楽章は壮大です。
このように全曲を通じて充実感あふれる名曲であり、ベートーヴェンの全作品中5指に入ると言ってもよい出来映えではないでしょうか。現に故・吉田秀和先生は、著書『LP300選』(管理人が読んだのは新潮文庫版でしたが、現在では『名曲300選』と改題してちくま文庫より刊行されているようです)の中で、本曲を英雄交響曲等と共にベートーヴェン作品のベスト5に入れておられた憶えがあります。

ブダペストSQの演奏はモノラル時代の録音です。録音当時のメンバーは次のとおりです。
第1vn: ヨセフ・ロイスマン
第2vn: ジャック・ゴロデッキ
va: ボリス・クロイト
vc: ミッシャ・シュナイダー

ブダペストSQは1960年前後にベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲をステレオで録音していますが、今日聴いたのはモノラル時代の旧全集の中の1枚です。管理人は昨年ソニークラシカルが旧全集を復刻した時買い求めたのですが、あまりに素晴らしい演奏なので驚嘆・感動しました。
ブダペストSQといえば、アルバン・ベルクSQが人気を集めた1980年代半ば以前は、スメタナSQと並びベートーヴェン演奏の横綱格と評価されていましたが、当時聴かれていたのはステレオ時代の新録音の方でした。この新録音は凝集性の強い堅固な演奏という定評がありましたが、今日聴いた旧録音は流麗と言って良いくらいで覇気のあふれる演奏です。また第3楽章は繊細です。管理人は、新録音より旧録音の方がはっきり上だと感じます(なお、このように断言できるのは第7番に関してだけのことで、他の曲については、旧全集を聴き込んでいないので、はっきりしたことは言えません)。
旧録音と新録音の録音時期は10年足らずしか異ならないのに、なぜこのような違いが出てきたのかと考えると、旧録音の時は第2ヴァイオリンがジャック・ゴロデッキでしたが、新録音の時はアレクサンダー・シュナイダーに代わっています。一つにはその点があるのだと思いますが、それ以上に録音方式の差が大きいのではないでしょうか。
新録音はステレオ初期の録音で、音程の不安定・音場が漫然と広がってしまうなど技術上未熟な点がありました。昨年ソニークラシカルが復刻した旧録音の方は、モノラルとはいえ当時の最高技術が使用されブダペストSQの覇気ある演奏が鮮明に捉えられているのではないか、と思うのです。
管理人はこれまで、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番の同曲異演を15種類くらい聴いてきましたが、今日聴いたブダペストの旧録音はその中でもトップではないかと思うくらいの名演です。

ブダペストの旧録音は、10年以上前United Archievesという現在では存在しないレーベルが復刻したことがありましたが、その時はマスタリングが上手くいっていない感がありました。今回のソニークラシカルによる復刻は上手くいっていると思います。ソニークラシカルに大きな感謝を送りたい気持ちです。管理人はベートーヴェンの弦楽四重奏曲といえば、当分このブダペストの旧録音から離れられそうもありません。

Comp.string Quartets: Budapest Q (1951-1952)
Sony Classical *cl*
Beethoven ベートーヴェン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト


"ブダペストSQのベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番『ラズモフスキー第1番』」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント