カサドシュのドビュッシー「版画」

今日、東京のコロナ新規感染者数が367人と過去最高に上った旨が報じられました。都がPCR検査の件数を増やしているせいだと指摘されていますが、陽性率がほとんど減少していないのは現在も市中感染が続いているためだと思われます。緊急事態宣言の再度の発出等、行政機関による強力な対応が必要だと思いますが、現実は行政側は後手後手に回っている感があります。

今日の1曲はドビュッシーの「版画」です。
演奏はロベール・カサドシュ(p)です。1953年8月4日の旧CBS(現在はソニークラシカル)への録音です。

ドビュッシー「版画」は3曲の小曲から成る曲集です。各曲の演奏時間は本カサドシュ盤で3分12秒〜5分23秒で、トータル13分22秒です。
各曲にはそれぞれ「塔」「グラナダの夕暮れ」「雨の庭」という題名が付せられています。
ライナーノート(藤井宏)によると、「第1曲<塔>はパリ万博で接したガムラン音楽に触発された5音音階の東洋風の主題が用いられている。第2曲<グラナダの夕暮れ>はハバネラのリズムに乗せて、スペインの古都グラナダに誘う。第3曲<雨の庭>はフランスの2つの童謡の旋律に基づいた技巧的な曲。」ということです。
いずれの曲もドビュッシーらしい洗練されたピアニズムが感じられます。同じくフランス印象派のラヴェルと比べると色彩感は希薄ですが、ゴテゴテしたものを排しすっきりと洗練された曲作りがドビュッシーの持ち味なのだろうと思います。
上記のような各曲についての予備知識を持って各曲を聴くのは一興ですが、何らの予備知識を持たずにドビュッシーの構築した音世界に聴き耳を立てるのも一興だと思います。何の予備知識もなしに、ドビュッシーがどのようなインスピレーションを得てこれらの曲を作曲したのか、想像を働かせるのです。そうしてみると、自分の想像がある程度当たることもあれば、全くピント外れの時もあります。そのような時間を持つのは楽しいものです。

カサドシュの演奏は、端正で気品のあるものです。テンポを変えず、格調の高さを崩さずに演奏をしています。同じフランスのピアニストでドビュッシー、ラヴェルの演奏に定評のあるサンソン・フランソワの主観的な演奏とは、ちょうど正反対のスタイルです。一口にフランスのピアニストと言っても色々な個性が存在することが分かります。
管理人自身はこのカサドシュのようなスタイルが好きなのですが、リスナーによっては面白味に欠けると感じる方もおられると思います。

管理人は個人的にカサドシュが好きです。
以前のエントリーで書いたことがありますが、管理人の好きなピアニスト・ベスト5はルービンシュタイン、ギーゼキング、アラウ、ラローチャ、ブレンデルですが、その次に好きなのがケンプ、カサドシュです。
ドビュッシー、ラヴェルのピアノ曲(モーツァルトのピアノ曲も同様です)の演奏では、カサドシュは、同じくらい古いギーゼキングとともに忘れられないピアニストです。フランソワのドビュッシーも持っているのですが、普段はあまり聴かず、何年かに1回、気が向いた時に聴く、という聴き方をしています。
ギーゼキング盤もカサドシュ盤も50年以上も前の録音なので、その後現在までの間に色々なピアニストが色々なドビュッシー像を創造してきたのだろうと思います。しかし管理人のようなオールド・ファンは、ギーゼキングとカサドシュがいれば他に要らないのではないか、と思う事もあります。

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