ギレリスのベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第8番『悲愴』」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」 - ギレリス(エミール), ギレリス(エミール), ベートーヴェン
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」 - ギレリス(エミール), ギレリス(エミール), ベートーヴェン
今日の東京は晴天の穏やかな一日でした。ここ数日、11月中下旬と思えない穏やかな日が続いています。地球温暖化の影響だと思います。今冬は暖冬になるのではないかと思います。
しかし世界中で新型コロナウイルス第三波の感染拡大が続いており、日本もその例外ではありません。今日の全国の新規感染者は2000人台の後半となる見通しです。今日、政府は医療専門家の強い要請を受けてGoToキャンペーンを見直す方向と伝えられましたが、当然の措置です。遅きに失したというべきです。

今日の1曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」です。
演奏はエミール・ギレリス(p)です。1980年9月のドイツ・グラモフォンへの録音です。

本曲は「月光」「熱情」とともに三大ソナタとして非常に有名な曲です。
急・緩・急の3楽章構成を取ります。
まず第1楽章が素晴らしい出来なのではないでしょうか。「悲愴」というニックネームの通り悲愴感と緊迫感が満ち溢れています。
第2楽章は、一転して穏やかで、初期ベートーヴェンらしい優しさ、穏やかさ、遥かなものへの憧れが感じられます。クラシックの枠を超えて有名な楽章だと思います。
第3楽章は激情が風のように駆け抜けます。
本曲の楽章間には大きい振幅があります。

ギレリスは管理人の苦手なピアニストです。彼の録音はほとんど持たずにいます。本ブログを開設して15年になりますが、ギレリスを取り上げるのは今回が初めてではないかと思います。しかし彼のベートーヴェンは、少なくとも「レコード芸術」誌では、一貫して高く評価されてきたことも事実です。
今日聴いてみて、たいへん見事な演奏だと思いました。まず演奏テクニック、特に第1・3楽章で隅々まで音を鳴らせ切った演奏テクニックに素晴らしいものがあります。第2楽章でもデリケートに工夫して深い感情を表出しようとしています。全曲的にテンポを揺らすことはしていません。曲を古典主義的に捉えようとしているのだと思います。往年の巨匠ではルドルフ・ゼルキンと似たスタイルの演奏です。「レコード芸術」誌で高く評価されていたのが納得できる演奏です。
この演奏に足りないものがあるとしたら、詩情とか叙情性のようなものです。例えばウィルヘルム・ケンプが見せていたような要素です。しかしそれはギレリスのスタイルではないのでしょう。

管理人はリヒテルやギレリスのようなロシア系のピアニストは、これまであまり好みではありませんでした(ただし世代的に若いアシュケナージやさらにずっと若いキーシンは決して嫌いではありません)。しかしそのような好みを改める必要があるのかもしれません。そのように管理人に反省を迫るような演奏でした。

追記(11/21) 2017年発行のレコード芸術編「最新版名曲名盤500」の「悲愴ソナタ」の項を見てみると、1位はギレリス盤で、続く同点2位がポリーニとシフとなっています。

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